「笠木」とは?役割や雨漏りが起こる原因を解説
2024/02/27
建物はさまざまな部位が組み合わさってできています。
「屋根」や「外壁」のようにわかりやすいものから、名前を聞いてもピンとこないような部位もあります。
そこでここではそれらの部位の中から「笠木」が果たしている役割と、笠木が関係している雨漏りの原因について紹介していきたいと思います。
笠木の概要
笠木とはベランダやバルコニーの腰壁の上部分、手すりなどが設置されている部材のことを指しています。
基本的にはこのように屋外に設置されるものを指すことが多いのですが、屋内でも階段の手すり壁や対面キッチンの腰壁などにも設置されています。
雨水や紫外線のダメージを受けやすい腰壁の上部分を保護するために設置されるものです。
笠木という名前がついていますが、素材は木材だけでなく金属製、セメント製、モルタル製など色々なものがあります。
近年は防水性や耐久性が高く、扱いやすいガルバリウム鋼板の金属製のものが多く使われています。
笠木が果たしている役割
では笠木は何のために設置されているのでしょうか。
ここでは笠木が果たしている役割について紹介していきます。
腰壁を保護する
笠木が果たしているもっとも大きい役割は腰壁を保護するというものです。
腰壁は建物の外側に位置している部分で、雨水、日差しなどのダメージを受けやすい部分です。
こうして雨や紫外線にさらされ続けていると腰壁がどんどん劣化していきます。
腰壁が劣化することによって、ここから雨水が浸入しやすくなり、雨漏りの原因となってしまうことがあるのです。
それを防ぐために腰壁の上部分に笠木を設置するのです。
笠木が雨水や紫外線から腰壁を守ってくれるのです。
防水性を高める
ベランダに設置されている笠木は防水性を高めるという役割があります。
笠木がない状態だとその部分から雨水が浸入しやすくなってしまうのですが、笠木があることによって防水性を高め、雨水を適切に排出していくことが可能となります。
防水性を高めるという理由で金属製の笠木が増えている傾向があります。
外観を整える
これは屋内、屋外両方に言えることですが、笠木があることで非常に整って見えるという効果があります。
屋内に笠木があることで部屋の雰囲気は大きく変わってきますし、屋外でも笠木が無かったり、破損していたりすると外観が悪くなります。
美観のためという点でも笠木は役立っているのです。
笠木の材質の種類と特徴
昔は笠木というと木製のものでしたが、最近では色々な種類のものが出ています。
そこでここでは笠木の材質の種類について紹介していきます。
木製のもの
もっとも古くからあり、現在でも屋内の笠木としてもっとも多く使われているのが木製の笠木です。
対面キッチンの腰壁や階段の手すりなどで木製の笠木は多く使われています。
それはデザイン性の高さ、木材ならではの暖かさ、手触りの良さなどが関係していると考えられます。
屋外の木製の笠木は劣化が早いのですが、屋内ではそれほど劣化していかないため、これからもその傾向は続くと考えられます。
金属製のもの
屋外では風雨にさらされることが多いため、耐久性や防水性が求められます。
そこで多く利用されているのが金属製の笠木です。
軽い、耐久性が高い、防水性が高い、錆びにくいという理由でガルバリウム鋼板の笠木が増えています。
ガルバリウム鋼板以外では、ステンレス製、アルミ製、銅製などの笠木があります。
モルタル、セメント、コンクリート製のもの
建物の周囲にある塀の上部分に半円形のセメント瓦が設置している場合がありますが、あれは笠木瓦と呼ばれる笠木の一種です。
セメント製の笠木は触り心地が良く、なめらかな仕上がりになります。
セメントに「水、砂」を混ぜたものがモルタルです。
モルタルは柔軟性に優れ、扱いやすいということがあるために仕上げ材としても使われることが多くなっています。
屋上の塀、ベランダの腰壁などで多く使われています。
セメントに「水、砂、砂利」を加えていくとコンクリートとなります。
コンクリート製の笠木は高いデザイン性が求められる建物などで多く使われています。
こうしたデザイン性が求められる笠木では「陶器製」「石」などのものも使われることがあります。
笠木から雨漏りが起きる原因
笠木は防水性、耐久性を高め、外観を整えるというメリットがある部材ですが、ここが原因で雨漏りが発生する場合もあります。
そこでここでは笠木から雨漏りが起きる原因について紹介していきます。
笠木の経年劣化
どのような部材、建材でも経年劣化は起きています。
笠木は特に屋上やベランダの外側に設置されるものですので、「紫外線」「雨」「風」などの被害を受けやすく、劣化しやすい条件が整っているのです。
こうして太陽光や風雨にさらされることによって劣化していき、木製であれば腐食する、金属製であれば錆びて穴が開く、モルタル製であれば崩れたり破損したりするといった症状が出てくるようになります。
こうして穴が開いたり、破損したりするとそこから雨水が浸入していくため、雨漏りの原因となっていくのです。
屋外に設置されている笠木については定期的にメンテナンスを行うことが重要だと言えます。
笠木だけを交換する場合は10万円程度まで、笠木が原因ですでに雨漏りがしている場合は30万円程度の費用がかかる場合があります。
コーキングの劣化
笠木を固定するために板金が使われている場合はそこにコーキングが打ち込まれています。
また、笠木を固定する釘の周囲にもコーキングが打ち込まれています。
コーキングは5~10年程度で劣化していき、剥がれる、崩れるといった症状が出てきます。
特に笠木付近は風雨にさらされることが多いため劣化が早くなります。
コーキングが剥がれたり崩れたりしていくとそこから雨水が浸入していくこととなります。
コーキングが劣化していると感じた場合はできるだけ早く対応しなければいけませんし、できれば定期的にメンテナンスを行うことが理想です。
コーキングだけのメンテナンスであれば1~3万円程度の費用で済む場合があります。
釘、ビスが抜けている、錆びている、緩んでいる
笠木は釘やビスで固定されていることがあります。
こうした釘やビスは経年劣化によって錆びてくる、緩んでくるということがあります。
釘やビスが錆びたり緩んだりすることで隙間ができてしまい、そこから雨水が浸入するということがあるのです。
抜けてしまっている場合は論外ですが、赤茶色に錆びている場合も危険だと思っておきましょう。
釘の交換やビスの固定などだけであれば1~3万円程度の費用で済みます。
笠木を交換していく際の流れ
笠木のメンテナンスを行い、軽微な補修で済むのであれば問題ないのですが、損傷がひどい場合や劣化が進んでいる場合は新しいものに交換することとなります。
そこでここでは笠木を交換していく際の流れについて紹介していきます。
既存の笠木を撤去し、洗浄する
笠木が腐食している、錆びている、穴が開いているというほど劣化が進んでいる場合は新しいものに交換します。
まず既存の笠木を撤去していくこととなります。
釘やビスを使って固定している場合はそれらを抜いて取り外していきます。
交換する部分の笠木をすべて撤去したら、その部分の洗浄を行います。
特に笠木が「腐食していた」「錆びていた」「カビや苔が発生していた」という場合はしっかりと洗浄しなければそれらが残っていまい、せっかく新しい笠木に交換しても再びそれらが発生しやすくなってしまいます。
加工して配置する
笠木を撤去して洗浄ができたら、設置する部分の形状や大きさに合わせて素材を加工していきます。
折り曲げる、切り取るなどの加工を行ってピッタリと設置できるように合わせていきます。
合うように加工ができたらそこに新しい笠木を配置していきます。
ここでも微調整を行い、最終的な形状に仕上げていきます。
コーキングを打って、釘やビスで固定していく
新しい笠木を配置する際に笠木同士が重なり合う部分にコーキングを打っておきます。
この部分は表面からは見えない場所となるのですが、この重なった隙間から雨水が浸入するのを防ぐための作業です。
防水性を高めるための工夫だと言えるでしょう。
そして新しい笠木を釘やビスを使って固定していくこととなります。
以前は釘で固定することが多かったのですが、錆びにくいステンレス製のビスを使うことが増えてきています。
ビスで固定できたら、ビスの上からコーキングを打って防水対策を行っておきます。
コーキング、養生、完成
ビスを固定した場所にコーキングを打つ際には周囲にはみ出てしまわないように養生して行います。
コーキングが打てたら、十分に乾燥するまで養生しておきます。
完全に乾いたら不要な養生テープなどをすべて外して最終確認を行っていきます。
どこもまったく問題がなければ笠木の交換が終了ということになります。
完成したら数年おきにメンテナンスをすることをおすすめします。
完全に劣化が進んでからの補修となるとすでに雨漏りの原因となってしまっている可能性があるためです。
できるだけ早く対応できるように点検を欠かさないようにしましょう。
まとめ
笠木は屋上、ベランダなどだけでなく、屋内でもキッチンや手すりなどで使用される部材です。
防水性を高める、デザイン性を高めるといった効果があるため、必要不可欠な部材だと言えます。
ただ、笠木が劣化すると雨漏りの原因となる場合がありますので、しっかりとメンテナンスを行っていくことが重要です。
当社で行った笠木の工事事例