屋根の役物とは?種類や必要性について解説
2023/07/28
建物の屋根部分には色々な部位があり、それぞれに名称があって役割を果たしています。
その中には「屋根の役物」と呼ばれる部分があります。
そこでここでは屋根の役物について、それぞれの種類や役割、必要性などについて紹介していきたいと思います。
屋根の役物の果たしている役割とは
屋根の役物にも色々な種類があるのですが、基本的に果たしている役割は似たようなものとなっています。
ここではまず屋根の役割が果たしている基本的な役割について紹介していきます。
防水性を高める機能
屋根の役物が果たしているもっとも重要な役割は「防水性を高める機能」「防水機能」です。
役物は主に屋根の先端部や棟、形状が異なっている物同士のつなぎ目などのように複雑な場所に設置されることが多い部位です。
こういった「先端部分」「つなぎ目」といった部分は雨水などが侵入しやすい場所でもあり、こういった場所から雨漏りがしていく原因にもなる場所です。
そういった重要な場所に役物を設置することによって防水機能を高めるということが期待できるのです。
それぞれの部材、建材をしっかりと固定する機能
屋根のそれぞれの部位がしっかりと固定されていないと大雨や強風などの際に「剥がれる」「めくれる」「破損する」「外れてしまう」ということがあります。
このようにめくれたり外れたりすることを防ぐために固定をする役割を果たすのが屋根の役物です。
固定したい部分に屋根の役物を覆いかぶせるようにして収納しますので、役物を設置した後は固定している部分が外からは見えないようになります。
こうして部材をしっかりと固定するという働きもしているのです。
外観を印象付ける決め手になる
屋根の先端部や棟といった場所は人目に付きやすい場所です。
こういった人目が付きやすい場所に屋根の役物を設置することで外観のイメージを大きく印象付けることができます。
屋根の色に合わせる、屋根とは異なる色でインパクトをつける、デザイン性の高いもので美観を高めるなど外観イメージをさまざまに印象付けることができるのも屋根の役物の役割だと言えます。
屋根の役物の種類とそれぞれの特徴や役割について
屋根の役物には色々な種類のものがあり、それぞれに特徴と役割があります。
ここではそれらの名称や特徴について紹介していきます。
棟包(むねつつみ)
「棟」は屋根の頂上部分を指す言葉で水平になっているもっとの屋根の上にある部分です。
この部分は屋根の面が合わさる部分となるために、つなぎ目から雨水が入りやすいという特徴があります。
こうしたつなぎ目は雨水が入りやすいのでこの部分に棟包という板金の役物を設置することで雨漏りを防ぐことができます。
一般的には「棟板金」と呼ばれることもあります。
棟の頂上部分を「大棟」と呼んでおり、頂上から軒先に向かって設置される部分を「隅棟」と呼んでいます。
棟包は固定するために釘やビスを使うのですが、こういった部分は経年劣化によって錆びたり緩んだりしてきます。
釘やビスが錆びたり緩んだりすると固定する力が弱くなってくるため、強風時に部材が飛散してしまう、落下してしまうことが多いのもこの役物です。
また、板金の役物ですので、経年劣化によって塗膜が薄くなったり剥がれたりしたり錆びてきたりするということもあります。
それを防ぐためには定期的に塗装メンテナンスをする必要があります。
▷棟板金から雨漏りが起こる原因とは?対処法・メンテナンス方法を解説
剣先(けんさき)
屋根の頂上部分から軒先に向かって伸びているのが隅棟ですが、その先端部分に設置されるのが剣先です。
名前通りに先端が尖っていて剣先のようになっています。
ただ、どういった場合でも同じような角度に加工して設置するというわけではなく、建物の形状や屋根の形状に合わせて加工した上で施工する必要があります。
隅棟で使用している板金と同じ種類の素材を使うことが多いのですが、わざと違う素材のものを使うという場合もあります。
唐草(からくさ)
屋根には重要な部位として「ケラバ」と呼ばれる部分があります。
ケラバについては後で細かく紹介しますが、基本的にはケラバは切妻屋根の妻側を指しています。
その部分に設置するのが唐草です。
ケラバ部分は雨を常に受ける位置にあるために雨水が入りやすい場所となっています。
ここから雨水が回り込んで軒天を濡らしたりしないように水切りをする必要があるため、その水切りをする役割を果たすのが唐草なのです。
唐草という名前がついているのは昔このケラバなどに使う部分の瓦に唐草模様のものを使うことがあり、そこからケラバに設置する水切りのための板金を唐草という名前で呼ぶようになったのです。
棟巴(むねともえ)
屋根の雨漏りは部材同士のつなぎ目から起こることが多くあります。
棟とケラバを合わせる部分もその一つであり、雨漏りがしやすい場所となっています。
そこでこの棟とケラバの合わさった部分に設置されているのが棟巴です。
スレート屋根や金属屋根が使用されている場合には板金のものとなり、瓦屋根が使用されている場合は棟巴瓦が使われます。
切妻屋根だけでなく、入母屋の場合にも棟巴が使用されており、デザイン性の高い巴瓦が設置されていることも多くなっています。
雨押え(あまおさえ)
つなぎ目は屋根と外壁の部分でも出てきます。
この屋根と外壁のつなぎ目からも雨漏りが起こりやすいのですが、そこに設置された役物が雨押えです。
この取り合い部に板金でできた雨押えを設置することでここから雨水が入り込むのを防ぐことができるのです。
鬼瓦(おにがわら)
こちらはかなり有名な屋根の役物となります。
鬼瓦は屋根の棟の端部分に設置された瓦であり、雨漏り防止といった役割よりも「魔除け」「厄除け」といった願いを込めて設置されているものです。
その名前の通り鬼の顔を形どったものも多く、「強いもので厄を祓う」という意味合いがありました。
しかし近年では、住宅地などで鬼の顔は周囲とのバランスのために避けられることもあり、「雲」などのデザインのものが使用されることが多くなっています。
鬼瓦は漆喰などで固定しているのですが、経年劣化によって漆喰の方がダメになってくると鬼瓦の固定が弱くなっていく可能性があります。
メンテナンスは瓦よりも漆喰の方を重視して行われることがあります。
鼻隠し(はなかくし)
屋根の先端部分にある軒先を覆うように設置するのが鼻隠しです。
軒先の先端部分は人目につきやすく、家のイメージを左右する部分でもあります。
また、軒先は雨漏りがしやすい場所でもありますので、この鼻隠しは「防水」「外観」の2つの役割を果たしている部位となっています。
ただこの軒先は下からの吹き上げる風を影響を受けやすい部分でもありますので、強く固定しておく必要がある場所ともなっています。
ケラバとケラバに設置される役物について
屋根の部位の中でもケラバは非常に重要な部位となっています。
ここではケラバとはどういった部位なのか、ケラバに設置される役物とはどういったものかについて紹介していきます。
ケラバとは
ケラバという名前は「けら(おけら)」から来ていると言われています。
このケラバが設置されているのは切妻屋根や片流れ屋根といった屋根が斜めになっている面の外壁よりも外側にある部分です。
屋根の先は軒と呼ばれる部分ですが、軒先には雨樋が設置されています。
ケラバは雨樋が設置されない側だと考えれば良いでしょう。
そのため寄棟屋根や方形屋根にはケラバはありません。
近年では高い強度と防水性を持つガルバリウム鋼板などの金属での板金が使用されることが多いのですが、経年劣化によって錆びたりするということもあります。
そのため、定期的に塗装メンテナンスを行う必要があります。
あまりにも劣化が激しい場合には交換するという場合もあります。
ケラバの果たしている役割とは
ケラバは外壁よりも外側に出っ張っている部分となっていますので、夏の強い日差しが窓から直接入らないようにすることができます。
冬は太陽の日射角度が低くなるため、うまく窓から日差しが入るようになっています。
また、ケラバは強い日差しが外壁に直接当たることも防いでくれますので、外壁が紫外線によって劣化するのを防いでくれます。
さらに窓ガラス、窓枠の部分はどうしてもつなぎ目が発生するために雨水が入り込みやすいのですが、ケラバは窓の上部分にあるために窓に直接雨水が吹き込むことも防いでくれます。
このようにケラバは太陽光や雨水から窓ガラスや外壁を守ってくれるという重要な役割を果たしているのです。
ケラバがある家では風があまりない日であれば窓を開けるということも可能です。
ケラバ包み
ケラバは窓や外壁などを守ってくれる重要な部位ですが、それだけにダメージを受けやすく雨漏りにつながることもある部位です。
そこでケラバの端部分に設置するのが「ケラバ包み」です。
高い防水性を持つケラバ包みによってケラバの耐久性、耐水性を向上させることができるのです。
また、ケラバのすぐ下部分には破風板が設置されています。
ここはその名前の通りに風を受けやすい部位となっています。
そのため強風によって屋根材がめくれてしまったり、破損してしまったりすることがある場所でもあります。
これを防ぐためにもケラバ包みは「防水性」だけでなく、強固な固定力によって風からの影響にも強くなっています。
屋根の役物に関する施工事例
ここでは、弊社「株式会社エーストラスト」による屋根の役物に関する施工事例を紹介します。
大阪市にて片流れ屋根の棟板金交換工事
現場住所 | 大阪市 |
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施工内容 | 棟板金の交換 |
使用屋根材 | ガルバリウム片流れ棟板金 |
こちらのお客様は、強風により屋根頂上部に取り付けられている棟板金が歪んでしまったため、交換修理をおこないました。
施工実績の詳細は下記をご覧ください。
泉大津市にてパラペットの笠木板金交換工事
現場住所 | 泉大津市 |
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施工内容 | 笠木板金の交換 |
使用屋根材 | ガルバリウム鋼板製板金 |
こちらのお客様は、増築屋根部分の笠木板金が風で飛んでしまい、雨漏りが発生しておりましたので交換工事を行いました。
施工実績の詳細は下記をご覧ください。
▷大阪府泉大津市にて雨漏り修理〈増築屋根パラペット笠木交換〉
まとめ
屋根には色々な部位があり、それぞれを保護するために役物が設置されています。
役物にはそれぞれに名称がついており、違った役割を果たしています。
そのため、その部分が劣化してしまう、破損してしまうことで他の部分に影響が出てしまうということもあります。
その部位ごとに劣化していくスピードも違っていますので、定期的にメンテナンスを行っていくことで長くその性能を発揮することができるでしょう。