雨漏りが起こりやすい谷樋とはどの部分?原因や対処法を解説
2023/05/22
雨漏りと聞くと「天井」を思い浮かべる方は少なくないでしょう。
しかし、「谷樋」も雨漏りしやすい部分です。谷樋の特徴をはじめ、雨漏りとの関連や対処法まで詳しく紹介します。
谷樋とはどの部分?
谷樋とは、上記写真の赤丸箇所のことで、屋根と屋根がぶつかる部分のことを指します。溝になっているため、普段は雨水の通り道です。
素材は、ガルバリウム鋼板、ステンレス、トタン、銅板がほとんどです。
なお「谷板金」とも呼ばれることがあります。
谷樋から雨漏りする原因
谷樋からの雨漏りには、主に「経年劣化」「雨水の逆流」「施工不良」「DIYの失敗」など4種類の原因が考えられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経年劣化
谷樋は、他の部材と同じように年月とともに劣化していきます。素材が曲がるとうまく排水できなくなり、そのまま谷樋に溜まります。
溜まった雨水は、サビとなり徐々に谷樋を浸食。そのまま放置すると穴が開くこともあるのでご注意ください。
また勾配がゆるやかな屋根は、もともと雨水が溜まりやすいため、定期的な点検やメンテナンスが欠かせないでしょう。
雨水の逆流
谷樋は溝になっているため、天候によっては、飛んできたゴミや枯葉が付着することがあります。自然に取れれば問題ないのですが、張り付いたままだと雨水があふれる原因に。
また谷樋の変形によっても逆流することがあるので、台風や強風などの後は業者に確認してもらうと良いでしょう。屋根の勾配がゆるかったり、谷樋の幅が30cm以下だったりする住宅も注意が必要です。
施工不良
谷樋の下には防水シートが張ってあります。
しかしこの防水シートがもともとうまく取り付けられていないと、雨漏りにつながることが。
下地を見てみると、防水シートが雑に張られていたり、すき間が開いていたりする事例は珍しくありません。腕の良い業者を見極めるのも、雨漏りを回避するひとつのポイントと言えそうです。
DIYの失敗
DIYが得意な方は、屋根にのぼって、防水テープやコーキングなどですき間を塞ぐこともあるでしょう。しかし、むしろ悪化する恐れがあるのでご注意ください。
雨漏りを防止するには「すき間」を塞ぐのが有効と思われがちですが、塞ぐべきすき間もあれば、塞ぐべきではないすき間もあります。
誤った施工は、水の流れ道を完全に絶つのと同じ。結果的に、雨漏りをひどくしてしまうケースは少なくないのです。
谷樋から雨漏りしたときの対処法
谷樋は、雨漏りの意外な“盲点”です。
実際に屋根にのぼって状態を確認しなければならないため、非常に危険がともないます。正しく施工しないとさらに症状が悪化することもあるので、決してご自身で対処しようとせず、業者に相談してください。
業者が「谷樋が原因で雨漏りしている」と判断すると、まずは屋根材の種類を特定します。これは、屋根材によって対処が異なるためです。
屋根材が瓦
瓦屋根に取り付けられた谷樋の場合、谷樋だけを交換して修理します。一度瓦を取り外しますが、同じ瓦を再び貼り付けます。
まず、谷樋を挟むように設置されている瓦を丁寧に外していきます。周辺の瓦がなくなったら、谷樋の撤去作業に取り掛かります。谷樋を外すと、防水シートが見えてくるので、新しい防水シートを敷きます。上に新しい谷樋を取り付けて、剥がした瓦を元通りに設置します。
ひと通りの作業が終わったら、雨水の流れがスムーズになるように、丁寧に清掃して完了です。
屋根材が金属やスレート
金属やスレート屋根に取り付けられた谷樋の場合、「カバー工法」での対処が一般的です。
カバー工法では、劣化した谷樋や屋根材はそのままに、上からまったく新しいものを乗せていきます。
まず、棟板金と貫板を撤去。その後、既存の屋根材はそのままに、上から防水シートを張っていきます。すき間なく敷設したら、ケラバや軒先まで谷樋を設置して、雨仕舞をつくります。
新しく載せる屋根材を設置したら、棟に貫板を設置、その上から棟板金を固定すれば完成です。
なお、棟にはガルバリウム鋼板、貫板は樹脂製など、サビに強い素材で施工すると雨漏りに強い住宅になるでしょう。
※下地があまりにも傷んでいたり屋根材そのものが劣化していたりする場合、カバー工法は使えません。谷樋とともに周辺の屋根材も剥がして、それらは撤去。2面の屋根材も、谷樋も、まるごと新しいものに交換したうえで施工します。
谷樋からの雨漏りの防止策
谷樋からの雨漏りは、適切に補修すれば改善します。
しかしできれば、最初から雨漏りのリスクを避けたいですよね。
谷樋からの雨漏りを防ぐためには、耐久性のある素材を選ぶのがおすすめです。たとえば代表的なのは、ステンレス製やガルバリウム鋼板製。これらはサビに強い素材として知られています。雨が続く日でも、屋根に積もった雪がなかなか解けなくても、きっと安心して暮らせるでしょう。
ただ、いくら耐久性を誇る部材でも「~~しにくい」に過ぎません。一切サビないのではなく「サビにくい」、一切劣化しないのではく「劣化しにくい」というだけです。
屋根のことは、足場を使って直接確認しないとわかりにくいため、「雨漏りして初めて劣化に気づいた」という方が多くいます。どれほど機能的な部材を乗せても、定期的な点検は不可欠。信頼できる業者に、谷樋はもちろん、屋根全体の状態も確認してもらいましょう。
定期点検をすれば、ゴミや落ち葉の詰まりによる“雨水の逆流”も防止できます。「ゴミくらい自分で取れる」と自力で作業したくなるお気持ちはわかりますが、高所作業は命の危険をともなうので、絶対にご自身では行わないでください。
谷樋の雨漏り修理の費用を抑えるポイント
雨漏り修理には、ある程度まとまった費用が欠かせません。
谷樋が原因でも、修理には足場を組む必要があったり、場合によっては屋根材を撤去して新しいものに交換したりするので、できるだけ費用を抑えるに越したことはないでしょう。
谷樋の雨漏り修理の費用を抑えるには、2つのポイントがあります。
1つめは、複数の業者から相見積もりを取ること。1社の見積もりだけで契約せず、2~3社から見積もりを取って比較検討しましょう。
このとき、工事業者に伝える条件は同じにしてください。同じ工事内容で見積もりを取れば、差額がわかりやすくなるためです。
しかし金額に注目しすぎてもいけません。担当者の対応やアフターサポート体制、保証制度などを総合的に見極めましょう。
今回の谷樋修理をきっかけに、屋根の点検・メンテナンス・修理まですべてまかせられるような、信頼のおける業者を見つけられると良いですね。
2つめは、他の“足場を組む作業”と一緒に点検してもらうことです。雨漏りが発生していない段階でも、屋根や外壁をメンテナンスする機会があれば、一緒に見てもらうことをおすすめします。
すでに雨漏りしている場合は、谷樋と一緒に寿命が近い部材のメンテナンスも済ませましょう。屋根や外壁など塗装の寿命は来てませんか?足場を解体して、別の日に再度組み立てるとそれだけ費用がかかります。「できること」は一緒に済ませておくと、長期的な視点からコスト削減を実現できるでしょう。
まとめ
谷樋は雨漏りが起こりやすい部分として知られています。
経年劣化や雨水の逆流など原因はさまざまですが、気づいた時点ですぐに業者に相談してください。
エーストラストには、谷樋からの雨漏り修理に長けた職人が多数在籍しています。
適切に点検・修理して、雨漏りに強い住宅をつくりましょう。