棟板金から雨漏りが起こる原因とは?対処法・メンテナンス方法を解説
2023/04/27
棟板金は、雨漏りが多い箇所のひとつ。
屋根の高い場所にあるので、室内で雨漏りに気づいても、具体的にどこに問題があるのか目視では確認しにくいですよね。
棟板金についての基礎知識や、雨漏りが起こる原因、対処法、メンテナンス方法などを詳しく解説します。
雨漏りは自然に改善することはないので、気になることがあったら早めに業者へご相談ください。
棟板金とは
棟板金とは、屋根(※瓦屋根以外)の「棟」にとりついている金属の部材です。棟とは、屋根材と屋根材が交わるところ、つまり家のてっぺんの部位のこと。屋根同士が斜めに重なる部分を思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれません。この棟に被せてあるのが、棟板金です。
棟板金には雨仕舞としての役割があり、屋根からの雨漏りを防止してくれます。
しかし、棟板金の厚さはたった0.4~0.9mm。しかも天候の影響を直に受けている部分なので、経年劣化はどうしても避けられません。
「台風で〇〇が飛んできて屋根にぶつかった」というように、小さな飛来物でも大きな影響が出ることがあります。日ごろは見えにくい部分なので、定期的に業者に確認してもらうと安心でしょう。
棟板金から雨漏りが起こる原因
雨漏りの原因が棟板金にある場合、主に「釘」「釘穴」「貫板」「板金」の不具合が考えられます。
それぞれのパーツについて、発生原因を詳しく見ていきましょう。
釘が浮いて釘穴が露出した
棟板金からの雨漏りにおいて、「釘の浮き」から始まるケースが多くみられます。
棟板金の側面には釘が打ちつけられているのですが、金属の特性上、天候や気温の影響で伸縮したり、錆びて腐食したりすることがあります。
そうなると、釘が浮いて、釘穴が露出した状態に。
じわじわと釘穴から入り込んだ雨水は、木材の貫板に染み込み、さらに屋根の下地、屋根裏、内装材……というように室内へ侵入していくのです。
釘が浮いて棟板金の固定がゆるくなった
釘の浮きは、棟板金の固定も弱らせます。
ゆるくなった棟板金は、風の影響で浮いてしまうこともあるでしょう。そうなると雨仕舞いとしての役割どころか、全体的にすきまだらけに……。
釘穴を伝った侵入ルートと同じように、貫板⇒下地⇒屋根裏⇒内装材へとじわじわ浸水していきます。
釘が浮いて貫板が劣化した
釘が浮いて釘穴が露出しても、下地まで雨水が侵入せず、貫板の部分でストップするケースもあります。
しかし安心してはいられません。貫板は木製なので、そのまま雨を受け止め続けると腐食してしまいます。症状が進行するとササクレのようにボロボロになり、釘の固定さえ不可能に……。
土台がダメになってしまうと、釘を再び打ち込んだところで意味がありません。
棟板金が錆びて穴が開いた
「錆」は、金属製の屋根材に欠かせない悩みです。
ガルバリム鋼板製でもトタン製でも、雨漏りに気づいて業者に屋根の状態を見てもらったら「かなり錆が広がっていた」というケースも。
経年劣化、飛来物の衝突、アンテナからのもらい錆、塩害など、棟板金が錆びる理由はさまざまですが、いずれにしても錆が穴につながるまでそう時間はかからないでしょう。
コーキングの劣化
複数の棟(隈棟、大棟など)をつなげている屋根の場合、棟板金をコーキングで接合していきます。
しかしコーキングの寿命は5~10年程度。割れたりヒビが入ったりすると、そこから雨水が侵入してしまいます。
また、コーキングが弱くなると接合部の板金が浮くことも。浮いたすき間は、同じように雨漏りの原因になるのです。
棟板金から雨漏りが起こったときの対処法
棟板金から雨漏りが起こったら、すぐに業者へ連絡してください。
棟板金は高所にあるので、ご自身で修理するのは大変危険です。
しかし、業者が到着するまでに多少時間がかかるもの……。家具や電気機器を守るため、応急処置で室内の雨漏りだけでも今すぐストップさせましょう。
まず、雨漏りしている箇所を特定したら、その部分にシーリングテープを貼ってください。すき間が開いていると雨漏りが再発してしまうので、手で触って密着感を確かめるのが良いでしょう。
シーリングテープを貼っても雨水が漏れてくる場合、ビニールシートを重ね貼りして対処します。両面テープでしっかり留めれば、業者が到着するまでの応急処理になるでしょう。(釘を使って留める方法もありますが、穴を開けた箇所から新たに雨漏りする可能性があるので、あまりおすすめできません)
棟板金から雨漏りさせないためのメンテナンス方法
棟板金からの雨漏りは、適切にメンテナンスすれば予防できます。
以下に具体的な方法を紹介するので、業者と相談しながらすすめていきましょう。
10年ごとに塗装する
棟板金の性能をキープするには、「塗装」がポイント。
棟板金は塗膜によって守られていますが、その塗膜の寿命は10年程度とされています。そのため10年ごとに業者に塗装してもらってください。なお、棟板金をピンポイントに塗装するよりも、屋根材全体に塗装を施すと、より防水性が上がりますよ。
ガルバリウム鋼板なら20年程度、トタンであれば15年程度の寿命が期待できるでしょう。
大切なのは“錆が発生する前に塗装する”ということ。少しでも錆があると症状はどんどん進行していくので、業者と相談しながら早めに対処してください。
棟板金を交換する
棟板金は、塗装でメンテナンスすれば性能を長くキープできます。
しかし業者に屋根の状態を確認してもらうと「棟板金がめくれている」「錆が広がりすぎている」「錆によって穴が開いている」など、塗装では解決できない問題に直面することも……。
そのような場合は、棟板金自体を交換するのが望ましいでしょう。
あるいは築15年以上の住宅も、将来的なことを見据えて、塗装ではなく交換を選択したほうが良さそうです。
業者と相談しながら、ベストな判断をしてくださいね。
棟板金を強化する
棟板金はある程度自由にカスタマイズできます。
メンテナンスや交換の際に、合わせて施工しませんか?
・今お使いの棟板金がトタン製⇒ ガルバリウム鋼板にすると錆に対する耐性がアップ
・今お使いの釘が金属製⇒ ステンレス製のネジにすると固定力と錆への耐性がアップ
・今お使いの貫板が木材⇒ プラスチック製の樹脂にすると水分を吸収しないので長持ち
棟板金からの雨漏りは珍しくないからこそ、棟板金自体を強化して予防対策をしていきましょう。
まとめ
棟板金からの雨漏りは珍しくありません。
具体的には「釘」「釘穴」「貫板」「板金」などの不具合が考えられますが、その中でももっとも雨漏りの初期段階とされているのが「釘の浮き」です。
釘が浮くと、釘穴が露出したり棟板金の固定がゆるくなったり貫板が劣化したりなど、さまざまな症状につながるのでご注意ください。
室内まで雨漏りする場合、下地や内装ごと交換しなければならないため、工事はかなり大掛かりなものになり、費用もかさみます。手遅れにならないよう、定期的に業者に屋根の状態を見てもらい、いつでも万全の状態をキープしましょう。
なお棟板金の修理をご自身でおこなうのは大変危険なので、万が一の雨漏りの際は業者に依頼してください。業者が到着するまでは、シーリングテープやビニールシートを貼って対処しましょう。
エーストラストには、棟板金の修理に長けた職人が多数在籍しています。
雨漏りのお悩みや定期的なメンテナンスなど、どのようなことでもお気軽にご相談ください。