屋根の軽量化をおこなうメリットと注意点
2023/06/05
地震が頻発する日本において、耐震対策は不可欠です。
住宅が揺れると家具が倒れてきたり、最悪の場合、倒壊したりすることも。
そこで注目されているのが、屋根の軽量化です。
屋根の重量を軽くすれば、それだけ住宅の負担が緩和されるので、地震の影響を最小限に留められるでしょう。
屋根の軽量化をおこなうメリットや注意点を紹介するので、ぜひリフォームの参考にしてください。
屋根の軽量化が耐震対策になる理由
屋根の軽量化は、代表的な耐震対策のひとつ。万が一の地震に備えて、軽量な屋根材に葺き替える方が多くいます。
ひと昔前まで瓦屋根が主流でしたが、瓦はとても重量のある屋根材です。
地震で建物がグラグラ揺れると、瓦の重みを支えきれず住宅が倒壊というケースは珍しくありませんでした。
なぜほとんどの住宅が重量のある瓦を使っていたのでしょうか。それは、「屋根は重いほど良い」と考えられていたためです。
地震や台風は身近な自然災害です。人々は、数年に一度あるかないかという揺れよりも、一年に一度くらいの割合で訪れる台風対策に力を注いでいました。瓦屋根が普及していたのは「屋根材が重ければ台風のときに飛ばない!」と飛散防止効果に焦点を合わせていたからなのですね。
しかし近年、「屋根材は重いよりも軽いほうが良い」と考えられるようになりました。大きな地震が各地で相次ぎ、そのたびに私たちは住宅倒壊のニュースを目の当たりにします。次第に、台風と同じくらいに地震対策も重要視されるようになってきたのです。
「瓦屋根が気に入っているから、耐震対策といっても金属屋根には変えたくない」という方のために、今は軽量タイプの瓦も普及しています。さまざまな屋根材を知り、デザイン性と耐震性を両立させた、納得のリフォームをしましょう。
屋根の軽量化をおこなうメリット
屋根を軽量化させるリフォームには、いくつものメリットがあります。
代表的なものを4つほど見ていきましょう。
耐震性が向上する
屋根の軽量化リフォームをおこなう家庭の多くは、耐震性向上を目的としています。
建物の重心が低いと、それだけ耐震性が上がります。屋根はもともと高い位置にあるので、屋根材を軽いものに変えるだけで、建物全体の重心を低くできるでしょう。
万が一地震が発生した際も、揺れの影響緩和が期待できます。平屋住宅はもちろんですが、2階建てや3階建てにお住まいの方は、揺れの違いをかなり実感できそうですね。
屋根材による事故防止
「台風で屋根材が剥がれてどこかへ飛ばされていった」などのニュースは珍しくありません。
しっかり取り付けられている屋根材でも、飛散したり落下したりすることがあります。外れるリスクは重量タイプでも軽量タイプでも同じようにありますが、他の住宅に被害を与えてしまったり通行人に当たってしまったりしたら大変ですよね。
万が一の被害を最小限に抑えるためにも、軽量な屋根材を選ぶに越したことはないでしょう。
建物の構造体の負荷軽減
屋根は、さまざまな構造体(梁や柱)によって支えられています。構造体には地震や台風の影響から住宅を守る役割もあるため、軽量な屋根材に変えて普段から負荷を軽減すると、住宅が長持ちしますよ。
家屋倒壊までの時間を稼げる
現在の耐震基準は「震度7でも倒壊しないこと」が条件ですが、耐震基準を超えた揺れが発生する可能性はゼロではないでしょう……。
少しでも耐震対策を施しておけば、建物が倒壊するまでに多少の時間を稼げます。
あまりに大きな自然災害の場合、国や自治体から避難勧告が出されることがありますが、それも命あってこそ。即時倒壊を回避して、安全に避難できる時間を確保してください。
屋根の軽量化をおこなうときの注意点
屋根の軽量化リフォームをおこなう際には、2つの注意点も意識しましょう。
自治体の補助金対象になるか確認する
お住まいの住宅が旧建築基準法で建設されたものなら、自治体から補助金が支給されるかもしれません。
「耐震診断」「耐震設計」などをおこなうことが条件として挙げられていますが、実際のところ、細かな条件や補助金額は自治体によって異なります。たとえば「市内の業者に依頼しないと支給対象にはならない」としている地域もあるので、業者と契約する前に役所へ問い合わせてみましょう。
屋根の軽量化リフォームなどで申請できる助成金について、大阪府東大阪市・兵庫県姫路市の例を紹介します。値上げが続く昨今だからこそ、助成金を利用してかしこくリフォームしたいですね。
■大阪府東大阪市
【東大阪市耐震化促進補助事業】
・設計
補助金:補助割合1/2、補助金限度額10万円
・耐震診断、耐震改修
補助金:耐震診断4.5万円まで、耐震改修50万円~90万円まで
■兵庫県姫路市
・設計
補助金:補助割合2/3、補助金限度額20万円
・耐震診断、耐震改修
補助金:屋根軽量化・シェルター型50万円(定額)、住宅建替100万円(定額)、改修130万円まで
垂木と軒桁に金物が取りついているか確認する
「屋根全体が軽量になったら、今度は屋根ごと飛ばされるリスクが出てくるのでは?」と心配する方は少なくありません。
確かに、軽量すぎて屋根全体が吹き飛んだら、第三者への被害も自宅への被害も相当なものになりそうです……。
このようなリスクをなくすには、垂木が金物で固定されているか確認することが大切です。最近の住宅では垂木は金物でしっかり固定されているので、台風で飛散することはないでしょう。しかしひと昔前の住宅は、垂木は釘を使って留めるのが一般的でした。釘留めは強度があまり強くないため、ほとんど屋根材の重さによって飛散が抑えられているような状態。このまま屋根材だけを軽くしてしまうと、確かに台風のとき屋根全体が飛ぶ恐れがあるのでご注意ください。
地震対策としては効果的かもしれませんが、別の自然災害に弱ければ、やはり不安がぬぐえませんよね。
築年数の古い瓦屋根には、釘留め工法が使われがちです。業者に小屋裏を点検してもらって、垂木が釘だけで留まっていることがわかったら、小屋裏から金物でしっかり留め直してもらいましょう。
屋根の軽量化に人気の屋根材
軽量タイプの屋根材はたくさんありますが、特に人気なのはガルバリウム鋼板への葺き替えです。中には裏側に断熱材が取りついているタイプもあるので、耐震対策と断熱対策を両立させることも可能です。
「和の雰囲気を壊したくないので瓦が良い」という方は、軽量防災瓦を使う方法もあります。金属屋根よりは重量があるものの、粘土瓦よりは半分ほど軽量です。ビスでしっかり固定するので、万が一のときも崩れたりずれたりする心配はないでしょう。
エーストラストでは、ガルバリウム鋼板(SGL鋼板)の屋根材『横暖ルーフ』や『スーパーガルテクト』をおすすめ屋根材として取り扱っております。施工実績も多数ございますので、屋根の軽量化をお考えの方は是非ご覧くださいね。
▷おすすめ屋根材|大阪の屋根工事・葺き替え工事・板金工事はエーストラスト
施工実績
まとめ
屋根の軽量化は、多くの住宅に採用されている地震対策。屋根の重量を軽くすればそれだけ住宅の負担が緩和されるので、揺れの緩和や事故防止、家屋倒壊リスク軽減などが期待できるでしょう。
金属屋根であるガルバリウム鋼板への葺き替えが人気ですが、和の雰囲気を好む方は軽量瓦を選ぶのが良いでしょう。金属屋根に比べると重めですが、従来の瓦よりはいくらか軽量です。
エーストラストには、屋根の葺き替えが得意な職人が多数在籍しています。
軽量化リフォームについての知識も豊富なので、お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。
首都直下型地震や南海トラフ地震など、私たちは常に「今か今か」の状況に身を置いています。
ご家族の安全を守るために、ぜひ屋根の軽量化リフォームをご検討ください。
\職人からのコメント/
瓦屋根は、地震大国の日本に対して、昔の日本人が知恵を絞って考えてくれた優れた屋根材です。
そもそも瓦屋根は家の倒壊を避けるために、昔の人は瓦をわざと落ちやすくしていました。ただ実際に阪神淡路大震災クラスの地震が来たら倒壊してしまいました。
というのも、神社仏閣や戸建てのなかには瓦屋根をビス止めして落ちにくくしているところもあります。これだと瓦が落ちないため、本来の目的から外れてしまって倒壊してしまったともいえます。しかしこれも「地震対策<瓦屋根の落下防止」の価値観なので一概に否定はできません。
また昨今は瓦屋根の下に葺き土を使用しない業者も増えましたが、昔は葺き土が当たり前でした。葺き土は呼吸をして空気を循環してくれるから湿気などを逃がす大きなメリットがありました。
これは現代のスーパーガルテクトや横段ルーフにはないメリットです。ただエーストラストでは耐震性や屋根の飛散性のリスクを考えたときにやはり瓦屋根ではなくスーパーガルテクトによる軽量化をお勧めしています。