大阪の気候に合った屋根材はどれ?屋根材の選び方
2022/12/21
比較的温暖な気候の大阪府。暖かい気候は、海水温度の高い内海である瀬戸内海の影響を受けています。
大阪府は過ごしやすい気候のように思われますが、都市ならではの『ヒートアイランド現象』や海沿い地域で起こる『塩害』には注意が必要です。
屋根材は、こうした大阪府の気候や環境に合わせて選ぶことをおすすめします。気候に適した屋根材選びは、快適に過ごしやすい住環境をつくる手助けとなり、耐久性の向上につながるでしょう。
こちらの記事では、大阪の気候に合った屋根材の選び方をご紹介します。
大阪府にお住まいの方は、ぜひ参考にしてみてください。
大阪の気候の特徴
大阪府は『瀬戸内海式気候』に属しています。瀬戸内海の影響を受け、年間を通して比較的温暖であり、梅雨時期や台風時期以外では雨の日が少ないのが特徴です。
大阪では暑さ対策が求められる
安定した気候で過ごしやすい大阪府ですが、問題視されているのは夏場の暑さ。
大阪府では、都市部ほど気温が高くなるヒートアイランド現象が懸念されています。建物に蓄熱することで、都市部の気温上昇が進む仕組みです。
その上、温室効果ガスにより地球温暖化も進んでいることから、暑さ対策が欠かせません。
大阪管区気象台によると、1990年代以降、最高気温35℃以上の猛暑日や最低気温25℃以上の熱帯夜の発生が増加していることが分かっています。さらに今後の気温上昇は進み、激しい雨が増える予測もたてられています。
【出典】大阪管区気象台|大阪府の気候変動
大阪の沿岸部では、塩害対策も必要
加えて、海沿い地域では塩害対策が必要です。
瀬戸内海沿岸部では、“海岸線から 1km を超えるかどうか”が塩害の影響を考慮する一つの基準となっています。
日本海と比較すると被害を受ける地域は少なくなりますが、きちんと対策しなければ屋根や外壁など、建物の劣化が進みやすくなるため注意が必要です。
大阪の海沿いにお住まいの方は、塩害に強い屋根材を選択したり、こまめなメンテナンスを行うことで耐久性を向上させましょう。
大阪の暑さ対策:遮熱機能・断熱機能の高い屋根材
大阪の夏の暑さ対策として、遮熱機能や断熱機能のある屋根材がおおすめです。
遮熱性能が高い屋根材を使用すると、太陽から出ている『遠赤外線』を反射できます。
遠赤外線は屋根にあたることで熱へと変換されますが、反射することで屋根表面の温度上昇をおさえ、家の中に入る熱を減らす仕組みです。
また断熱機能は高温になる屋根の温度が屋根裏に伝わることを抑える機能です。室内へ高い温度の空気が移動することをおさえることで、室温の上昇も抑制します。
住宅の中で特に太陽の影響を受けるのは屋根なので、屋根に遮熱性能や断熱機能を持たせることは、大阪府の暑さ対策に有効です。冷房空調が効きやすくなり、過ごしやすいだけでなく電気代の節約にもつながるでしょう。
暑さ対策ができる、遮熱機能や断熱機能のある屋根材をご紹介します。
スーパーガルテクト
ガルバリウムにマグネシウムを添加してつくられた、アイジー工業株式会社の『スーパーガルテクト』。
表面に遮熱塗料が施されており、屋根表面の温度上昇を抑制します。
加えて断熱材と一体型になっているため、外の暑さを室内に取り込みづらく暑さ対策に有効です。耐久性やデザイン性にもこだわった商品です。
株式会社エーストラストでおこなったスーパーガルテクトの施工事例
【泉大津市にて雨漏り修理に伴うカバー工法】
現場住所 | 泉大津市 |
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施工内容 | カバー工法 |
使用屋根材 | スーパーガルテクト |
こちらのお客様は、たまたま施主様が屋根裏に登ると雨染みがあったそうで、不安になりご連絡をいただきました。現地調査をしてみると、屋根の頂上部、棟にあるはずの棟板金が無くなってしまっており、そこから雨水が入りこんでしまったせいで屋根の下地も腐食してしまい、今回の雨漏りを引き起こしてしまっていました。
施工実績の詳細は下記をご覧ください。
横暖ルーフ
スーパーガルテクトと同じく、断熱材入りのガルバリウム鋼板『横暖ルーフ』。ニチハ株式会社の屋根材です。
ジョイント工法(接続工法)を採用できるため気密性も高く、断熱性能に優れ、暑さ対策に有効です。
株式会社エーストラストでおこなった横暖ルーフの施工事例
【大阪市阿倍野区にて横暖ルーフへのカバー工法】
現場住所 | 大阪市阿倍野区 |
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施工内容 | カバー工法 |
使用屋根材 | 横暖ルーフ |
こちらのお客様は、訪問業者に「棟板金が浮いている」と指摘を受け心配になったとのことで、弊社にご相談をいただきました。指摘を受けた際は、業者に不信感を持ったためその場で工事の契約をせず、インターネットで調べた際に弊社のホームページをご覧いただきご連絡をしていただきました。訪問業者には残念ながら悪質な契約や施行をおこなう業者も多く、その場での即契約は絶対にやめた方がよいでしょう。
施工実績の詳細は下記をご覧ください。
スマートメタル
主にカバー工法で使用されることを想定した『スマートメタル』は、遮熱機能のあるケイミューの金属屋根材です。
カバー工法のメリットの一つは、既存屋根の二重構造になるために、断熱性能が向上すること。優れた遮熱性能を持つ屋根材をカバー工法で使用することによって、より効果の高い断熱性が期待できるとされています。
スーパーガルテクトや横暖ルーフのように、屋根材自体に断熱材が備わっているわけではありません。
コロニアル遮熱グラッサ
ケイミューの『コロニアル遮熱グラッサ』は、遮熱機能を持ったスレート屋根。
カラーバリエーションが豊富なのが特徴で、黒や茶色等の一般的な色から、白やシルバーなどの遮熱に有効な明るい色も揃っています。
屋根の遮熱・断熱機能を高めるためにできる工夫
遮熱性を高めるため、屋根材のほかに工夫できるポイントをご紹介いたします。
換気棟を設置する
換気棟は穴が開いた板金部材。屋根にある棟を換気棟に交換することで、屋根裏にこもった熱気を逃し、建物の暑さを軽減する効果があります。
換気棟が多いほど、また妻換気や軒天換気口とあわせて使うことで高い効果が期待できるでしょう。
“穴が開いた板金部材”と聞くと「雨漏りするのでは?」と心配になるかもしれませんが、雨仕舞をきちんと行えば雨漏りの心配はありません。
ルーフバルコニーには『緑化』や『保水材』が有効
屋上緑化は、建物の蓄熱を防ぎ、ヒートアイランド現象にも効果的です。
また、ルーフバルコニーには保水材を使用した建材を導入すると、打ち水を行うことで建材が水分を吸収し、建物の温度上昇を長く抑える効果があります。
大阪の沿岸部には塩害に強い屋根材を
比較的塩害に強い屋根材はありますが、残念ながら“完全に塩害を防ぐ屋根材”はありません。塩害に強いからと放置していれば腐食が広がり、大がかりな修理が必要となることも。
塩害対策がとれる屋根材を選びつつ、定期点検でメンテナンスをしっかりと行うことが大切です。
塩害に強い屋根材をご紹介いたします。
SGL鋼板を使用した屋根
遮熱性能が高い屋根材として紹介した、スーパーガルテクト・横暖ルーフ・スマートメタルの3つの屋根材はSGL鋼板(スーパーガルバリウム)が使用されています。
SGL鋼板は、添加されたマグネシウムの働きによってめっき層を強化。ガルバリウム鋼板の3倍超の耐食性があることから、塩害にも強いとされています。
遮熱性能と塩害対策の両方に適応できるSGL鋼板を使用した屋根材は大阪府にお住まいの方におすすめです。
瓦屋根
瓦も比較的塩害に強い屋根材です。
特に塩害に強いとされるのは『石州瓦』。焼成温度は1200度以上で、塩害だけでなく冷害にも強いため、塩害地域のほかに寒冷地でも選ばれています。
セメント系や釉薬瓦系の瓦屋根は、塩害被害が表面に現れにくいため目視しづらく注意が必要です。
気づいた時には、瓦の内部まで腐食が進み、雨漏りの原因となることもあるのでメンテナンスには気を配りましょう
フッ素樹脂塗装された屋根
屋根の塗料にフッ素樹脂を使用することで耐候性が向上します。
SGL鋼板のなかでも『スーパーガルテクト フッ素』や『横暖ルーフ プレミアムS』など、さらに耐候性に優れた商品もあります。塩害の被害が出やすい地域では、検討してみるとよいでしょう。
まとめ
ヒートアイランド現象や塩害など、大阪府の気候を考慮すると、遮熱性や断熱性に優れたスーパーガルテクトや横暖ルーフといった遮熱や断熱の機能をもった屋根材がおすすめです。
特に沿岸部にお住まいの方は、塩害に強いSGLなどの屋根材を選ぶととともに、定期的にメンテナンスを行いましょう。
当社、エーストラストで屋根工事を行うお客さまも、『スーパーガルテクト』や『横暖ルーフ』を多数採用しており、葺き替え工事やカバー工法で使用しています。
施工事例も参考に、大阪府の気候にあった屋根材を検討してみてくださいね。