増築部分からの雨漏りの原因は?対処法を解説
2023/06/05
「家族の暮らしをもっと快適にしたい」と考え、住宅の増築を決断される方は少なくありません。
しかし、せっかく広くした住まいで雨漏りに悩まされるケースも。どうして増築部分で雨漏りが起こりやすいのか、その原因を知ることで、大切な家を守る対策が見えてきます。
本記事では、増築部分の雨漏りの原因と解決方法について、わかりやすく解説します。
増築部分から雨漏りする原因
増築工事をすると、既存の建物と新しく作る部分との間に”つなぎ目“ができます。このつなぎ目は避けられないものですが、建物全体の防水性能に大きく関わってくる重要な部分なのです。
このつなぎ目は、実は建物の中でも特に雨漏りが起こりやすい場所の一つとなっています。
例えば、窓や天窓からの雨漏りがよく見られますが、これは窓枠を取り付けるために外壁に開口部を設けることで、四方につなぎ目ができてしまうためです。増築部分でも同じことが言えます。つなぎ目に隙間ができてしまうと、そこから雨水が入ってくる可能性があるのです。
ただし、きちんとした施工がされていれば雨漏りは防ぐことができます。そのためには、適切な設計と施工、そして定期的なメンテナンスが大切になります。それでは、増築部分で起こりやすい雨漏りの3つの原因について、詳しく見ていきましょう。
1. 施工不良
雨漏りを防ぐためには、既存部分と増築部分のつなぎ目をしっかりと施工することが大切です。しかし、次のような理由で施工不良が起きることがあります。
経験不足の職人による作業
施工の技術が十分でないと、防水シートやシーリング材の取り付けが不完全になることがあります。その結果、つなぎ目に小さな隙間ができて、雨水が入ってきてしまうことがあるのです。
防水加工の不備
特に屋根と壁のつなぎ目やバルコニーなどは、防水層をしっかりと作ることが重要です。施工の途中で防水処理を省いてしまったり、適切な材料を使用していなかったりすることも原因となります。
施工不良を防ぐには?
信頼できる工事業者を選ぶことが大切です。過去の実績や施工例、お客様の評価などをよく確認し、できれば複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。また、工事の進み具合を写真で記録してもらうと、後々問題が起きた時の確認に役立ちます。
2. 設計ミス
増築の計画段階での設計ミスが、雨漏りの原因となることもあります。主な設計ミスには次のようなものがあります。
屋根の傾斜が適切でない
屋根の傾斜が緩すぎると、雨水がうまく流れずに溜まってしまうことがあります。この水溜まりが、防水層を傷める原因となりかねません。
つなぎ目の作り方の計算ミス
つなぎ目の形や大きさが適切でないと、防水性能が十分に発揮されません。雨水が溜まりやすい構造になってしまうと、つなぎ目から雨漏りする可能性が高くなります。
設計ミスを防ぐには?
設計の段階で、増築部分と既存建物のつなぎ目の防水対策について、しっかりと確認しましょう。また、設計図を専門家に見てもらうことをお勧めします。
3. 劣化
増築工事が完了した時点では問題なくても、時間とともに防水材やつなぎ目が劣化して、雨漏りが起きることがあります。
防水材の寿命
シーリング材や防水シートは、年月とともに硬くなったりひび割れたりして、防水性能が落ちてきます。
屋根材の劣化
増築部分の屋根材が古くなって割れやすくなると、雨水が入りやすくなります。特に風雨の影響を受けやすい場所では注意が必要です。
劣化を防ぐには?
定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。防水材や屋根材の状態を数年ごとにチェックし、問題があれば早めに補修することが大切です。特に雨風の影響を受けやすい場所では、劣化が早まる可能性があるので、こまめな点検をお勧めします。
結論
増築部分の雨漏りを防ぐには、「設計」「施工」「メンテナンス」のどれも欠かせません。増築を計画される際は、実績のある信頼できる業者を選び、工事の様子や仕上がりをしっかりと確認することが大切です。また、完成後も定期的な点検とメンテナンスを行うことで、長く安心して暮らすことができます。
増築部分の雨漏り、専門家の調査方法をご紹介
雨漏りの原因を見つけるのは、一見した印象だけでは難しいものです。特に増築部分は既存の建物との接合部分や構造に特徴があるため、しっかりとした調査が欠かせません。ここでは、専門家がどのように雨漏りを調査するのか、詳しくご説明します。
1.現地調査
まず専門家が現場に伺い、雨漏りが起きている場所を確認させていただきます。この時、以下のようなポイントを重点的に見ていきます。
- 外部の状態:増築部分の屋根や外壁に傷や隙間はないか、雨樋の状態はどうかなど
- 内部の状況:雨染みやカビの場所、天井の変化など、目で見える範囲の状態
- 結露の可能性:雨漏り以外の原因も考えられるため、室内の湿気や空気の流れも確認
調査では、経験を活かして細かな部分まで入念にチェックします。また、後の分析に役立てるため、詳しい写真記録も残させていただきます。
2.情報の分析
現地で確認した情報や写真をもとに、雨漏りの原因を丁寧に分析していきます。具体的には、次のような点に注目します。
- いつ、どんな天候の時に雨漏りが起きるのか
- 雨水がどこから入ってきている可能性があるのか
- 増築部分がどのような作りになっているのか
必要に応じて、建物の図面や過去の工事記録なども確認させていただきます。これらの情報を総合的に見て、原因がどこにあるのかを特定していきます。
3.詳細な検査
より正確に原因を突き止めるため、専門的な機器も活用します。
- コンピューターによる解析:雨水の流れを細かくシミュレーションし、見えない部分での水の動きを確認
- 赤外線カメラ:湿気のある場所を特殊なカメラで可視化し、問題箇所を発見
- 散水検査:実際に水をかけて、どこから水が入ってくるのかを確認
これらの調査方法を組み合わせることで、修理が必要な範囲や最適な工事方法を見極めます。調査結果は、分かりやすい報告書にまとめてご説明させていただきます。
ご自身での調査について
雨漏りの原因を自分で探そうとされる方もいらっしゃいますが、実は複数の要因が絡み合っているケースが少なくありません。雨漏りは放置すると被害が広がる可能性があるため、まずは目視での確認に留め、専門家にご相談いただくことをお勧めします。
調査の立ち会い
現地調査の際は、できるだけご立ち会いをお願いしています。特に施工に問題があった場合、残念ながら「年数が経ったから」「天候のせい」などと責任逃れをする業者もいます。安心して調査を進めていただくため、以下のような準備をお勧めします。
- 被害状況の記録:雨漏りの場所を写真に撮っておく
- 質問リストの作成:増築工事の内容や、これまでの修理歴について確認したいことをメモしておく
また、調査時の説明内容はメモを取っておき、必要に応じて別の専門家のご意見を伺うのも良い方法です。
増築部分の雨漏りは、さまざまな要因が重なって起きることが多いため、丁寧な調査と確実な修理が必要です。信頼できる専門家に依頼し、原因をしっかりと特定した上で適切な対策を講じましょう。早めの対応で、修理費用も時間も大幅に節約できます。
増築部分の雨漏り、ご自身でできる対処法
増築部分の雨漏りに気づいたら、できるだけ早く業者に連絡してください。
ただ業者が到着するまで多少時間がかかるので、その間ご自身で応急処置をしましょう。
以下に「天井」「壁」の2パターンについて応急処置を紹介しますが、箇所を特定できていればコーキング材の施工もおすすめです。
増築部分の天井から雨漏り
増築部分の天井から雨漏りする場合、準備するものは以下の3つです。
- ・バケツ
- ・雑巾
- ・ブルーシート
まず、水が落ちてくる場所の下にブルーシートを広げましょう。(ブルーシートがなければ、大きめのビニール、いらなくなったバスタオルなどでも代用可能です)
ブルーシートを広げたら、その上にバケツを置きます。飛び散りを防ぐために、できるだけ底の深いタイプが望ましいでしょう。
高い場所から水滴が落ちると周囲に跳ねるので、バケツの中に雑巾やタオルを入れると被害を抑えられますよ。
増築部分の壁から雨漏り
増築部分の壁から雨漏りする場合、雑巾やタオルで対処しましょう。
濡れた部分は拭いて、もれてくる場所に雑巾を敷いて完了です。
もれる場所の近くにカーテンがあれば、取り外しておいたほうが賢明です。また電化製品も故障する恐れがあるので移動しておきましょう。
増築部分の雨漏り、誰の責任?
増築部分で雨漏りが起きた場合、多くは「業者の施工不良」が原因とされています。施工不良であれば業者に責任があるのではないか、と思われる方も多いのですが、実際の状況によって責任の所在は変わってきます。そのため、必ずしもすべてのケースで業者が責任を負うわけではありません。
1. 施工不良の場合の責任
施工不良による雨漏りが発生した場合、まず確認すべきは業者による保証内容です。ただし、新築と増築(リフォーム)では、保証の内容や適用範囲が大きく異なりますので注意が必要です。
新築の場合の保証:瑕疵担保責任
新築住宅の場合、「瑕疵担保責任保険」という保証制度が適用されます。この保証では、建物の構造に関わる重要な部分や雨水の侵入を防ぐ部分について、10年間の保証が法律で定められています。そのため、築10年以内の新築部分で雨漏りが発生した場合は、施工業者に対して保証を求めることができます。
増築の場合の保証:リフォーム瑕疵保険
一方、増築やリフォームの場合は新築とは異なり、瑕疵担保責任は適用されません。代わりに「リフォーム瑕疵保険」という制度がありますが、これは業者が任意で加入する保険です。そのため、業者が加入していない場合は保証を受けることができません。
また、リフォーム瑕疵保険に加入している場合でも、保証の範囲や条件は契約内容によって変わってきますので、事前によく確認しておく必要があります。
業者独自の保証制度
業者によっては、独自の保証制度を設けている場合があります。施工後の一定期間内に雨漏りが発生した場合、この保証が適用されます。ただし、保証期間は数ヶ月から数年とまちまちで、保証内容も業者によって異なります。そのため、契約時にはしっかりと保証内容を確認し、書面で残しておくことをお勧めします。
2. 増築時期による責任範囲の違い
増築部分からの雨漏りについては、建物の築年数や増築時期によっても保証や責任の範囲が変わってきます。具体的な例を見ていきましょう。
【ケース1】新築直後の増築
新築直後に増築工事を行った場合、新築部分には瑕疵担保責任が適用されますが、増築部分には適用されません。増築部分については、リフォーム瑕疵保険や業者独自の保証が適用されるかどうかを確認する必要があります。
【ケース2】築8年目の増築
例えば築8年目に増築を行い、その部分から雨漏りが発生した場合、新築部分についてはまだ瑕疵担保責任が有効です。ただし、増築部分については新築時の保証対象外となるため、業者の保証や保険が適用されるかどうかが重要なポイントとなります。
【ケース3】築20年目の増築
例えば築20年を超えた建物に増築を行った場合、新築時の保証はすでに終了しているため、建物全体の状態や増築工事の施工状況が重要になってきます。雨漏りの原因がはっきりしない場合、どの業者に責任があるのか判断が難しくなることもあります。そのため、工事の記録はできるだけ詳しく残しておくことをお勧めします。
3. 業者との契約時の確認ポイント
増築工事を依頼する際には、以下のポイントを契約前にしっかりと確認しておきましょう。
保証内容の詳細
・工事後の保証期間
・保証の対象範囲(雨漏りや構造部分の劣化は含まれるか)
・保証が適用される具体的な条件
保険の有無
・リフォーム瑕疵保険への加入状況
・保険が適用される条件と範囲
施工記録の提供工事中の写真や作業内容の報告書をお願いし、将来のトラブル防止に備えましょう。
業者の信頼性これまでの実績や評判を確認し、工事後のアフターフォローが充実している業者を選びましょう。
4. トラブルが起きた時の対応方法
万が一、増築部分から雨漏りが発生し、業者の保証や保険が使えない場合は、以下のような対応を検討してみましょう。
専門機関への相談
住宅リフォーム紛争処理支援センターなどの専門機関に相談し、適切なアドバイスを受けることができます。
損害保険の活用
ご加入の火災保険や損害保険で雨漏り被害がカバーされている可能性があります。保険の契約内容を確認の上、保険会社にご相談ください。
裁判や調停の検討
業者との話し合いが難しい場合は、裁判や調停という選択肢もあります。ただし、時間や費用がかかりますので、まずは専門家にご相談することをお勧めします。
結論
増築部分で雨漏りが発生した場合、まずは責任の所在を明確にすることが大切です。保証や保険の有無、施工記録などをしっかりと確認し、万が一に備えて契約時から十分な情報を集めておきましょう。また、トラブルが発生した場合の対応方法についても、事前に把握しておくことで、スムーズな解決につながります。
増築部分の雨漏りは業者とトラブルになることも
増築部分の雨漏り修理は、思わぬ被害の広がりや修理費用の増加につながる可能性があるため、慎重に対応する必要があります。
雨漏りは建物内部の腐食やシロアリの発生など、深刻な問題を引き起こすことがあるので、早めの対応をおすすめしています。ただし、増築工事を行った業者に相談しても「雨漏り修理は専門外です」と断られたり、修理を依頼しても繰り返し問題が起きたりすることがよくあります。これは、増築部分の雨漏り修理には特別な技術が必要だからなのです。増築箇所の接合部は構造上、弱点になりやすく、専門的な技術がないと根本的な解決は難しいのが現状です。
また、増築業者に修理の技術がない場合、無理にお願いすると施工の失敗で被害が広がってしまう可能性もあります。特に保証対象外の場合は、安易に依頼するのは避け、雨漏り修理を専門とする業者を選ぶことをお勧めします。
修理業者を選ぶ時は、これまでの施工実績や専門性をしっかり確認し、事前に見積もりや保証内容について詳しく説明してもらうことで、トラブルを防ぐことができます。また、問題が再発しないよう、修理後も定期的なメンテナンスを行って、建物を良い状態に保つことが大切です。
まとめ
住宅の増築は生活空間を広げる一方で、増築部分からの雨漏りが発生することがあります。雨漏りの主な原因には、施工不良、設計ミス、そして時間経過による劣化があります。それぞれについて、適切な防水処理や定期的なメンテナンスが必要です。
特に、既存部分と増築部分の「つなぎ目」は雨漏りのリスクが高い箇所であり、正確な施工や設計が求められます。また、施工業者選びも重要で、信頼できる業者に依頼し、工事の進捗を記録してもらうことでトラブルを未然に防ぐことができます。
万が一雨漏りが発生した場合は、迅速に専門家へ相談するとともに、自分でも応急処置を行うことが可能です。ただし、原因を特定し、適切に修理するためには専門的な調査が必要です。
さらに、雨漏りが発生した際の責任については、施工不良や保証内容、増築時期などが関係します。契約時には保証内容や保険の有無を確認し、施工記録を残しておくことがトラブル防止の鍵となります。
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