ディプロマットスターとはどんな屋根材?特徴やメリット・デメリットを解説
2023/07/27
最近では屋根材にも色々な種類のものが増えてきています。
それぞれに特徴があるため、うまく使い分けていくことが重要となるのですが、まずはどういった屋根材があるのかを知っていくことが必要です。
そこでここでは「ディプロマットスター」について、特徴やメリット、デメリットなどを紹介していきたいと思います。
ディプロマットスター屋根の概要、特徴について
まずディプロマットスターがどういった屋根材なのかということについて紹介していきます。
ディプロマットスターの概要とは
こちらは日本で製造されている屋根材ではなく、アメリカのカリフォルニアにある会社である「株式会社ディートレーディング」が製造している屋根材で、日本ではそれを輸入して使用しています。
アメリカでは40年以上の歴史を持つ屋根材でもあり、世界でも70ヶ国以上で使用されているという知名度の高い屋根材です。
ただ、日本では徐々に使用は増加しているもののまだまだ一般的な屋根材とはなっていません。
ベーススチールやガルバリウムメッキなどを重ね合わせた鋼板の表面に天然石粒が吹き付けられています。
頑丈でありながら軽量でもあり、表面の天然石粒によって断熱性、防音性を高めています。
さらにこういった金属屋根にしては耐用年数が非常に長いというのも特徴的です。
ディプロマットスターの基本仕様とは
ディプロマットスターの使用は以下の通りです。
材質:ジンカリウム鋼板0.39mm(自然石粒仕上げ)
寸法:1350mm×405mm
重量:2.54kg(1枚)
1㎡あたりの必要枚数:2.13枚
施工可能な屋根の範囲:2.5寸勾配以上
カラーバリエーション:4色(テラコッタ/カフェ/エバーグリーン/オニキス)
ディプロマットスターの特徴とは
ディプロマットスターには色々な特徴があります。
これらの特徴によって世界中で人気の屋根材となっているのだと言えます。
カラーバリエーションが豊富
「カフェ」「テラコッタ」「エバーグリーン」「オニキス」という4つのカラーが用意されていることから、金属屋根にありがちなワンパターンな色合いにならずに、デザイン性にも期待することができます。
また、和風住宅、洋風住宅のどちらにも合わせやすい屋根材となっています。
外壁材として利用することも可能
屋根材として優秀なディプロマットスターは外壁材としても利用可能です。
太陽光、紫外線にも強く、もちろん雨にも強いという特徴があり、シンプルなデザインで加工もしやすいことから外壁材として利用することができるのです。
ジンカリウム鋼板が使われている
日本では優秀な屋根材として使用が増加しているものに「ガルバリウム鋼板」がありますが、こちらの「ジンカリウム鋼板」はガルバリウム鋼板よりもさらに高い耐久性を持っています。
その表面部分に自然石を砕いた自然石粒を吹き付けてコーティングしていることでさらに耐久性、防熱性、防音性を向上させています。
この性能の優秀さからアメリカの最高機関である「UL(Underwhiters Laboratories Inc)」に登録されており、さらに国際品質管理規格「ISO9001」の認証も取得しています。
▷参考サイト:ジンカリウム鋼板とは?特徴やメリットデメリットをご紹介
耐用年数は
一般的な屋根材は耐用年数が15~30年程度のものが多いのですが、ディプロマットスターは耐用年数が50年前後に設定されています。
これだけ長い耐用年数を持つ金属屋根は他にないため、メンテナンスコストを低下させることが可能となります。
ディプロマットスター屋根のメリットとは
多くの特徴があるディプロマットスターにはそれだけメリットも多くあります。
ここではそれらのメリットについて順に紹介していきます。
多重構造による高い耐久性
ディプロマットスターはジンカリウム鋼板をベースにして、表面に天然石粒をコーティングしていることで高い耐久性を持っているのですが、さらに細かく見ていくと多重構造になっていることがわかります。
この構造は以下のようになっています。
・アクリル表面皮膜
・自然石粒
・アクリル樹脂ベースコート
・耐蝕化学皮膜
・アルミ亜鉛メッキ層
・ジンカリウム鋼板
・アルミ亜鉛メッキ層
・耐蝕化学皮膜
・保護皮膜塗装
この多重構造によってディプロマットスターは高い耐久性を持っているのです。
30年保証がついている
ディプロマットスターでは基材としてジンカリウム鋼板が使用されています。
ジンカリウム鋼板には30年保証が付与されているため、長期間にわたって安心して利用することができます。
また、表面に吹き付けられている自然石粒の色付けには瓦で使用される釉薬が採用されていることから美しさの維持が期待できるのです。
軽量化が期待できるため耐震性能を向上させることができる
近年注目を集めている「耐震性能」についてですが、この最大の取り組みとして行われているのが「屋根の軽量化」です。
屋根が重いと地震の際に建物が大きく揺れることとなり、被害が大きくなるのですが、屋根が軽くなることで揺れを抑えることができます。
ディプロマットスターは瓦屋根などと比べると1/10ほどの重さしかないため、葺き替え工事などの際にディプロマットスターに替えることで大幅な軽量化をすることができるのです。
【関連記事】屋根の軽量化をおこなうメリットと注意点
また、屋根材が軽量化されると強風などで飛んでしまうのではないかという心配がありますが、ディプロマットスターはインターロッキング工法と呼ばれる工法で固定されています。
これは屋根材を重ねた上で建物本体に固定するという工法です。
このインターロッキング工法によって強風でも安心なのです。
高い遮熱性、遮音性がある
耐久性が高いことで有名な金属屋根ですが、弱点として「熱」と「音」があります。
金属は熱の伝導率が高く、太陽光などによって屋根材が熱くなってその熱が建物内部へと移ることで室内が暑くなるというものです。
また、金属屋根は雨の音が響いてうるさいということもありました。
しかしディプロマットスターは屋根材の表面に自然石粒をコーティングしていることで、熱や雨音を拡散することができるようになっています。
このことで屋根の遮熱性、遮音性を高めているのです。
葺き替え、カバー工法などに幅広く対応している
ディプロマットスターはその軽量さと工法のシンプルさから、葺き替えやカバー工法など多くのリフォーム工事に対応しています。
特に屋根材自体が軽いことでカバー工法にも適している屋根材となっています。
ディプロマットスター屋根のデメリットとは
使用メリットの多いディプロマットスターですが、使用の際にはいくつかのデメリットもあります。
ここではそれらのデメリット、注意点について紹介していきます。
日本ではまだそれほどの知名度がない
ディプロマットスターは世界中で利用されている優秀な屋根材ですが、日本ではまだまだそれほどの知名度はありません。
そのため、採用しているハウスメーカーや施工業者もそこまで多くはなく、希望したとしても対応していないということもあります。
ただ、日本で流通している他の屋根材と比較しても性能はまったく劣っていませんので、これから徐々に使用量は増加していくことが考えられています。
高額になりやすい
ディプロマットスターは海外からの輸入屋根材ということもあって、価格が不安定になりがちです。
特に円安が進んでいる時期、物価高が続いている時期などではこういった輸入屋根材は高額になりがちです。
使用を考えている場合にはどれくらいの費用がかかるのかを確認しておく必要があると言えるでしょう。
また、メーカーの倉庫が近くにない場合には、送料などがかかって高額になることがあります。
設置することができない屋根がある
ディプロマットスターは屋根勾配に制限があります。
2.5寸以上の勾配がある屋根でないと設置ができないという制限がありますので、建物の屋根が大きくて勾配が少ない屋根には設置することができないのです。
設置を考える場合は屋根の勾配についても確認しておきましょう。
ディプロマットスターをおすすめしたい人、建物とは
メリットとデメリットを持つディプロマットスターですが、ではどういった人や建物に向いている、おすすめできるでしょうか。
ここではディプロマットスターをおすすめしたい人や建物について紹介していきます。
洋風の意匠性を重視したい
ディプロマットスターは表面の石粒がグラデーションになっており、高い意匠性があります。
洋風のお家で天然石粒のもつ意匠性を求める方に向いています。
台風や地震に備えたい
屋根材としてとにかく軽量であることから耐震性能を向上させたいという人におすすめできます。
また、インターロッキング工法によって固定されていることから「風速80m/sの暴風」にも耐えうることが可能となっているため、台風などの強風の際にも安心できます。
長い耐用年数や保証が欲しい
とにかく耐久性が高く、耐用年数が50年に設定されているような屋根材ですので、長く使うということについては非常に充実していると言えます。
また、ジンカリウム鋼板に30年保証がついているということも安心材料となっています。
太陽光発電、太陽光パネルを考えている
一般的に屋根に太陽光発電、太陽光パネルを設置する時には屋根材に穴を開けて固定する工法が使われています。
そのため、その時に開けた穴から雨漏りがする、劣化するということがあるのですが、ディプロマットスターは屋根に金具を取り付けるだけで太陽光パネルを設置することができるようになっています。
そのため、設置や撤去が短時間で簡単に行うことができるのです。
穴を開けないので、そこから屋根材が劣化していくということもありません。
これから太陽光発電を考える、設置を検討中という人におすすめできる理由と言えるでしょう。
施工実績
下記はエーストラストでの施工実績です。
▷和泉市にて屋根修理〈パミール屋根カバー工法〉
まとめ
ディプロマットスターは海外からの輸入屋根材です。
ガルバリウム鋼板と同じ組成である「ジンカリウム鋼板」を基材としており、表面の石粒によって断熱性、遮音性が期待できる屋根材となっています。
さらに非常に軽量であることから耐震性能を向上させることも可能ですし、インターロッキング工法によってしっかり固定されているために台風などの時にも安心です。
これから日本でも使用が増えていくと考えられている屋根材だと言えるでしょう。
エーストラストではお客様のご希望に合わせて様々な屋根材に対応が可能です。
\職人視点のコメント/
施工する職人する観点からすると、海外製のためか施工性はあまりよくないと感じます。ディプロマットスターは屋根材同士をかみ合わせていく嵌合式ですが、国産のスーパーガルテクトと比較すると一度でパチッとおさまらず、造りがあまい印象があります。また隅棟に棟板金を施工する際などに、上から釘を打ちますがこうした釘を脳天打ちするのはあまり見たことがありません。意匠性や保証の高さを求める方にはおすすめですが、屋根材そのものの造りの良さを求める方にはスーパーガルテクトをおすすめしています。