軒ゼロ住宅は雨漏りしやすいって本当?注意点や対策方法を解説
2023/04/04
軒ゼロ住宅は雨漏りしやすいと聞いたけど本当なのだろうか、メンテナンスが大変と聞いたけどどうなのか、とお悩みではありませんか?
軒ゼロ住宅は、居住空間が広くとれたり、建築コストが抑えられたりとメリットはありますが、雨漏りのリスクが高い住宅です。
この記事では、軒ゼロ住宅は雨漏りが起きやすい理由や注意点、雨漏りの対策方法について解説していきます。
軒ゼロ住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
軒ゼロ住宅は雨漏りのリスクがあります
いきなり結論を述べますが、軒ゼロ住宅は軒がある住宅にくらべて雨漏りのリスクが高くなります。
戸建て住宅の不具合の報告では、ひび割れに次いで多いのが雨漏りです。
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの2021年度の住宅相談統計年報でも、全体のうち14.6%と、トップのひび割れ20.8%に次いで多い数値です。
該当する箇所は屋根と外壁になります。
また、2019年3月までの累計データになるのですが、国土交通省資料の住宅瑕疵(かし)保険で支払いが多い箇所は、雨漏りが93%ともっとも多い結果になっています。
軒ゼロ住宅とは、軒(のき)がない、もしくは軒(のき)が短い建物のことをいいます。
軒とは、外壁よりも屋根の先端がでている部分です。軒が短いというのは、外壁から外側にでる部分が25cm以下のことを指します。
軒は外壁を雨や紫外線から守る役割になります。軒がないことで、雨や紫外線が外壁にあたる割合が多くなり、劣化が早まってしまうのです。
快適性も損なわれる恐れがある
軒ゼロ住宅は、紫外線が外壁や窓に直接あたるため、室内の温度も上昇し、快適性が損なわれる恐れがあります。
軒があると、紫外線があたってもその部分は影になるため、外壁や室内の温度上昇を抑えられるのです。
冬は太陽の日射角度が水平方向へゆるくなるため、快適性への影響は少ないですが、夏などの気温が高いときの対策をする必要があります。
軒ゼロ住宅の雨漏りの原因となる部分
ここでは、実際にどこから雨漏りが発生しているのか見てみましょう。
屋根と外壁のつなぎ目
屋根と外壁のつなぎ目部分が露出しているため、雨の影響を受けやすいです。屋根と外壁の隙間はシーリングで埋めていることが多いのですが、シーリング部が劣化したり、施工状態があまかったりすると雨漏りが発生しやすくなります。
雨樋(あまとい)部分
雨樋(あまとい)は、外壁に近い部分に設置されることから、雨水が外壁をつたって、シーリング部分やサッシ周辺から雨水が侵入して、雨漏りをするリスクが高まります。
紫外線が雨があたった外壁
軒がないことで、紫外線や雨が外壁に直接あたる割合が高くなります。
雨で外壁が汚れることで、防水の役割でもある塗膜の劣化が早くなります。
塗膜の劣化した箇所から、ひび割れや膨れ、剥がれによって雨水が侵入して、雨漏りの原因となります。
軒ゼロ住宅の人気の理由は?
雨漏りのリスクがある住宅ですが、最近では軒ゼロ住宅の割合が増加しています。
理由としては以下があげられるでしょう。
・室内空間を広くとれる
・建築コストが下がる
・耐震性能が向上する
狭い土地に対して広い住宅を建設する場合、斜線制限や建築面積の問題などで、やむを得ず軒ゼロや軒を短くすることがあります。
また、郊外で土地に余裕がある場合でも、デザインの好みや建設費用の削減から、軒を極端に少なくすることがあります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
室内空間を広くとれる
室内空間を広くとれるのもメリットのひとつです。
建築の際は、敷地内に軒の部分までを納めなくてはいけません。敷地内に納めようとすると、必然的に室内の空間が狭くなります。
少しでも広く面積を取ろうとすると、軒をなくすか短くする必要があります。
そういった問題から、軒ゼロ住宅が誕生しているのです。
建築コストが下がる
軒がないことで、建築コストを下げることもできます。
最近では、キューブ型住宅と呼ばれる、1000万円台からのローコスト住宅も誕生しています。スタイリッシュなデザインで人気が高まっています。
軒をなくすことで、材料と施工の建築費用を抑えられます。
屋根の材料だけでなく、軒の建材も削減できるため、費用的な部分でもメリットがあります。
耐震性能が向上する
軒があると、屋根の総重量も増えてきます。
屋根の重量が増えると、重心が上になり、揺れ幅が大きくなってしまいます。
軒をなくす、または短くすると地震の際に揺れ幅が小さくなり、耐震性能の向上に繋がるのです。
軒ゼロ住宅の注意点
軒ゼロ住宅の注意点に関しても見ていきましょう。
メンテナンス時期が早まる
外壁に雨や紫外線があたりやすいことで、メンテナンス時期が早まる可能性があります。
一般的には10年程度が目安ですが、2〜3年程度早まることは覚悟しておいた方がよいでしょう。
室内の温度が上昇する可能性がある
夏場は日差しをさえぎる工夫をしてみるのも劣化を防ぐ対策でもあります。
軒の部分は、夏の日差しを外壁や窓にあてない役割もあります。
軒がないぶん、日差しが直接室内に入り込むため、日除けを設置するなどの対策が必要になるでしょう。
雨水の流れを意識する
軒ゼロ住宅のなかには、屋根が平らな「陸屋根」と呼ばれるタイプがあります。
キューブ型のデザインで、オシャレで人気ですが、雨漏りのリスクが高いことが難点です。
屋根が平らだと、雨水が流れ落ちる傾斜がないため、屋根に長く水が滞在することになります。そうなると、防止加工処理をしていても、通常よりも早く傷んでしまう可能性があるので、傾斜をつけたり、雨水の通り道を作ったりするなどの対策が必要となるでしょう。
軒ゼロ住宅の雨漏りを防ぐ対処方法
雨漏りを防ぐ対策としては、以下の3点があります。
・こまめなメンテナンスをする
・換気に気をつける
・耐久性の高い外壁材を使う
それぞれ見ていきましょう。
こまめなメンテナンスをする
屋根と外壁のつなぎ目の部分は特に注意してメンテナンスが必要となるでしょう。
雨樋の設置位置も高くなっているため、一般的な住宅よりも詰まりが起きやすくなります。
また、防水シートやコーキング部分も劣化が起きやすくなるので、あわせて点検が必要です。
換気に気をつける
換気にも注意が必要です。
軒がある場合だと、通気層はサイディングの下側から空気を入れて、軒裏や屋根裏の排気口から排出するかたちになります。
軒ゼロ住宅は軒がないため、通常の軒の換気部材が使えません。そのため、室内の湿気や熱が屋根裏に溜まってしまうので、換気と通気ができる構造にする必要があります。
軒ゼロ住宅でも、必ず壁上部に換気口が設置されますが、専用の部材を利用するなど、雨漏りの原因とならないように工夫する必要があります。
耐久性の高い外壁材を使う
耐久性の高い外壁材を使うのも対策のひとつといえるでしょう。
ガルバリウム鋼板やタイル外壁などは、耐久性が高いのでおすすめのひとつです。
ガルバリウム鋼板は25〜30年、タイル外壁は40年程度の耐用年数があります。
タイル外壁は、水をかけるだけのメンテナンスフリーが特徴です。
価格が高いことがデメリットですが、メンテナンスのことを考えるとコストパフォーマンスには優れているといえます。
まとめ
軒ゼロ住宅は外観がスタイリッシュで、居住空間を広くとれるメリットはありますが、雨漏りのリスクがある点は抑えておくべきポイントです。
通常の住宅よりもメンテナンスに気をつかいますが、こまめにお手入れしたり、換気に気をつけたりすることで、建物の耐久性を保つこともできます。
軒ゼロ住宅の特徴や注意点を十分理解した上で、検討するようにしましょう。
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