屋根葺き替えとアスベストについて
2023/02/14
劣化したアスベスト入り屋根は、葺き替えが可能です。ただし、安全に葺き替えを行うためには、有資格者が作業にあたる必要があるため、業者の選定が重要になります。
さらに、アスベスト入り屋根は処分費用がかかるため、通常の葺き替え工事よりも費用負担が大きいのも特徴です。
工事を依頼する前に、アスベスト入り屋根のおおよその見分け方、葺き替えのメリットやデメリット、費用を確認してみましょう。
「葺き替えは負担が大きい」と感じられる場合、カバー工法による施工も可能です。業者選びを慎重に行い、安全に無理なく屋根の改修を行いましょう。
葺き替えにおけるアスベスト入り屋根の見分け方
葺き替えを行う前に、自宅の劣化した屋根にアスベスト(石綿)が含まれていないか、気になる方もいるでしょう。
屋根材のメーカーや品番が分かっている場合であれば、データベースから検索可能となります。
メーカーや品番が分からない場合、屋根の種類と年代による”おおよその見分け方”はありますが、目視で行なえる正確な見分け方はありません。きちんと見分けるためには、専門業者による現地調査が必須です。
「屋根にアスベストが入っていないか心配」であれば、アスベスト入り屋根でも葺き替え可能な専門業者に、現地調査と見積もりを合わせて依頼できるとスムーズです。
メーカーや品番が分かる場合
屋根材のメーカーと品番がわかるのであれば、国土交通省・経済産業省が提供している『石綿(アスベスト)含有建材データベース』を通じて調べられます。
お手持ちの、住宅購入時の契約書や仕様書を確認し、メーカーや品番の記載がないか確認してみましょう。
図面や仕様書、屋根材の裏面を見る
現在の建物の設計図や仕様書によってアスベスト含有でないことが証明や判断できれば処分費用はかからなくなります。
また、2010年以前に建築されたことが証明できればこちらもアスベストが入っていないと判断されます。
屋根材の裏に「無石綿」と刻印がされていても大丈夫です。(屋根材に上がって確認するのは危険なので、業者に依頼することをおすすめいたします)
アスベスト屋根の種類
アスベスト入りの可能性がある屋根材は以下の2つです。
・スレート
・セメント瓦
よく見られるのは、『カラーベスト』や『コロニアル』などのスレート屋根です。
製造時期によっては、アスベストが含まれていない可能性もあるため、施工された年代も合わせて確認しましょう。
また、粘土瓦や金属屋根の場合、アスベストは使われていないため、心配いりません。
他に年代によってルーフィングシートにアスベストが含まれていることもあります。
アスベスト屋根の年代
2004年(平成16年)以前に建てられた住宅で、スレートやセメント瓦を使用していれば、屋根にアスベストが含まれている可能性があります。これは、2004年の法改正によって、アスベストを1%以上含む建材の製造や使用が禁止されたことが理由です。ただし、「2004年以前のスレートやセメント瓦に必ず含まれている」とは限りません。
2001年(平成13年)前後から、法改正を待たずして『アスベストを含まない屋根』が開発されていたためです。
このように、種類や年代だけではアスベストの含有について、正確に判断することはできません。
アスベスト入り屋根葺き替えのメリット・デメリット
通常の屋根と比較して、アスベスト入り屋根の葺き替えはどのようなメリットまたはデメリットがあるのでしょうか。
劣化したスレート屋根やセメント瓦の改修に向けて最適な選択ができるよう、確認してみましょう。
アスベスト屋根葺き替えのメリット
アスベストを完全に撤去できる
1番のメリットは、アスベストを完全に撤去できること。
アスベストを全て撤去できる葺き替えは、破損時の飛散が心配な方に最もおすすめの改修方法です。劣化した屋根を放置しておけば、雨漏りなどの屋根トラブルにつながりやすくなり、破損する可能性が常について回ることになるでしょう。
最終的なコストパフォーマンスに優れる
カバー工法を行った場合、次は葺き替えを行う必要があります。年々アスベストの処分費用が高額になっていることを考慮すると今葺き替えておいたほうが安く済むと言えます。
また、葺き替えによって下地から新調することで、メンテナンス頻度が少なくなり、長期的なコストパフォーマンスにも優れるメリットもあります。
アスベスト屋根葺き替えのデメリット
費用が高くなる
アスベスト入り屋根の処分費用が、通常の屋根と比べて高くなりやすいことがデメリットとして挙げられます。
詳細は後述しますが、アスベストは特別管理産業廃棄物のため処分費用が高額であり、また運搬の際にも費用がかかります。
特別な作業や資格が必要
アスベスト入り屋根を撤去する際には、通常の屋根と異なり特別な作業が必要です。
アスベストの飛散を防ぐため、屋根を湿らせたうえで作業したり、飛散を防いだり、さらに撤去した屋根の保管にも気を配る必要があります。これらの作業には手間がかかり、廃棄方法も通常とは異なることから、費用負担が大きくなるでしょう。
また、アスベストが含まれている屋根材を撤去する場合は、アスベストを扱うことのできる専門業者に発注しなくてはいけません。
アスベスト入り屋根の解体にあたる場合、『石綿作業主任者』の資格が必要です。
屋根の葺き替えではなくカバー工法という選択肢も
完全にアスベストを撤去し、下地まで新調できる葺き替えの方が良いと思っていても、「費用面で改修が難しい」場合もあるでしょう。
アスベスト入り屋根はカバー工法による改修も可能です。ただし、カバー工法を選択しても、今後さらに20~30年以上住まわれる家であれば1度は葺き替えが必要な点に注意しましょう。
カバー工法の耐用年数は20~30年が目安。再びカバー工法を行うことはできないので、耐用年数を迎えると葺き替えが必要となります。結局葺き替えが必要となるのであれば、早めにアスベストを撤去しておくというのも考え方の一つです。
アスベストの処分費用は年々高額になっています。
また、カバー工法が可能かどうかは既存の屋根の劣化状態によります。
カバー工法を選択する際には、きちんと劣化状況を見極め、その後のアフターメンテナンスまで安心して相談できる専門業者へ依頼を行いましょう。
アスベスト入り屋根は、破損時の不安はあるものの、必ず葺き替えが必要というわけではありません。自身のライフプランに合った最適な改修方法を考えていきましょう。
アスベスト屋根の撤去費用や処分費用
アスベスト含有の屋根の撤去代金は、1m2あたり3,000〜5,000円がおおよその相場。またアスベストは廃棄物処理法において、特別管理産業廃棄物「廃石綿等」の分類に定められており、処分費用も高額です。
現在の処分費用は1立米で6万円〜となっており、25坪の場合アスベスト入りカラーベストでは最低3立米は出るため、運搬費を除いた処分費用だけで20万円近くかかります。
セメント瓦の場合は、8立米ほどになるためさらに高額になります。
撤去に関わるトータル費用は、約50~100万円が目安となります。
アスベスト屋根を改修する業者の選び方
健康被害を引き起こす恐れのあるアスベスト入り屋根。葺き替え工事では、解体作業の際にアスベストが飛散する可能性があります。安全に作業を行える専門業者へ依頼することが大切です。
また、特にカバー工法の際には、今後も破損時のアスベスト飛散の可能性に注意して、屋根トラブルを防ぐよう配慮していかなければなりません。
今後の屋根の状態を定期的に見てもらえるよう、信頼できる専門業者を選びましょう。
屋根の調査・施工・解体がきちんとできるか
アスベスト入りの屋根かどうか調査を行い、適切に施工や解体を行なえる技術が必要です。葺き替えでは解体時に特別な配慮が必要で、特にカバー工法は屋根の状態確認が必須。
適切な調査のもと判断できる業者でないと、カバー工法後に予定よりも大幅に早く不具合があれば、結局不具合があることになりかねません。
施工実績等を参考に、業者の選定を行いましょう。
「石綿作業主任者」が作業にあたれる
アスベスト入りの屋根を改修できる資格を持った専門業者へ依頼を行う必要があります。有資格者が在籍している専門業者を選びましょう。
ライフプランに合わせた提案
葺き替えやカバー工法の選択に悩んだら、ライフプランにあった提案が行える業者へ依頼しましょう。葺き替えとカバー工法両方の見積もりを比較し、メリットやデメリットも踏まえて相談できると安心です。
自社施工の地域の専門業者
費用のかかりやすい葺き替え工事。自社施工ができる地域の専門業者であれば、中間費用や交通費などの“工事に関わらない無駄な費用”のコストカットが可能です。
また、今後の屋根トラブルの修理も依頼しやすいでしょう。
まとめ
葺き替えをする屋根がアスベスト入りであるかどうか正確に判断するには、専門業者の現地調査が確実です。
葺き替え時には調査が義務付けられているため、現地調査とあわせて見積もりを依頼するとスムーズです。
エーストラストでは、アスベスト入り屋根の施工ができる「石綿作業主任者」が在籍し、現地調査や見積もりは初回無料で行っています。
大阪府でアスベスト入り屋根の葺き替えにお悩みであれば、お気軽にご相談ください。
\職人からのコメント/
エーストラストでは石綿の調査が行える「建造物石綿含有調査者」、またアスベストを含む屋根などを安全に解体が行える「石綿作業主任者」の資格を取得しております。安心して工事をご依頼ください。