屋根材「パミール」とは?見分け方と対処方法について
2024/03/27
屋根材には瓦屋根、スレート屋根、金属屋根などの種類があり、それぞれの中にも多くの製品が販売されています。
それらの中には長い間人気となっている製品もあれば、トラブルが発生する問題の屋根材もあります。
ここではそれらの中でも大きな問題となったスレート屋根「パミール」の特徴、見分け方、対処方法などについて紹介していきたいと思います。
屋根材「パミール」の概要
パミールは国内大手の建材メーカーである「ニチハ」が製造販売していたスレート屋根材です。
製造期間は1996~2008年であり、それ以降は製造中止となっています。
パミールが販売された時期はスレート屋根に石綿(アスベスト)が含まれていることが判明して社会問題となっていた時期です。
そのため、それぞれの建材メーカーはアスベストを含まないスレート屋根を急いで開発、販売する必要に迫られたのです。
パミールもそうして販売された製品でした。
パミールは「アスベストを含まないスレート屋根」として多く販売されたのです。
パミールの不具合、トラブルとは
パミールは10年も経たないうちに表面からミルフィーユのように層が剥がれていくという現象が起きて問題となりました。
スレート屋根は表面に塗装がされており、塗装が劣化してくると塗装メンテナンスを行うのですが、パミールは表面から層のように剥がれてしまうため、塗装をしてもそれごと剥がれていってしまうという問題が起きたのです。
これはやはりアスベストを含まないスレート屋根を急いで開発しなければならなかったため、十分な実験検証が行われないまま販売されたことが原因とされています。
そもそもアスベストは健康被害が出ることで問題となりましたが、建材素材としては安価、頑丈、高い耐久性を誇る素材でした。
これを使えないという事情が強く出てしまった結果だと言えるでしょう。
メーカーの対応
1996~2008年に製造販売されていた屋根材ですので、2024年現在ではそれらが劣化してきてトラブルが多く起きています。
中には裁判に発展しているものもあります。
しかし製造元であるニチハは「パミールの不具合は経年劣化によるものである」としており、保証対応はしていません。
そのため、パミールを利用していて不具合が出た建物は自費でカバー工法や葺き替えの対応をするようになっています。
パミールの見分け方、判別方法
そもそも「自分の家の屋根材がパミールかどうかわからない」ということもあるかもしれません。
そこでここではパミールの見分け方、判別方法について紹介していきます。
層状剥離している
もっともパミールの特徴的な症状です。
屋根材の表面からミルフィーユのように層が剥がれていくという状態になります。
設置してから7~10年ごろにもっとも発生してくるとされており、この症状が出てきたらまずパミールだと考えて良いでしょう。
屋根の先端部の劣化
層状剥離が起こる前に素材が傷んでくると屋根材の先端部が劣化して白っぽくなっていきます。
これはよく見ると剥離が始まりつつあるという状態ですので、この状態になるともう少しで表面から剥がれていくこととなります。
層状剥離の始まりのサインだと思って良いでしょう。
釘の腐食
パミールは屋根材本体だけでなく、付属している専用釘もトラブルの対象となっています。
パミールが販売された際に配布された専用釘の中にはメッキ処理が薄いものが混じっており、これらの釘は錆びたり腐食したりすることが多かったのです。
固定している釘が腐食することによって屋根材がズレたり、落下したりするということにつながっています。
釘が腐食してきているというのもパミールの特徴と言えるのかもしれません。
屋根材がパミールだった場合の対処方法
屋根材にパミールが使われていることがわかると、設置年数から考えれば劣化が進んでいると考えられます。
劣化が進んでいるのを放置すると雨漏りの原因となりますので、早い対処が望まれます。
ここではそんな際の対処方法について紹介していきます。
塗装することはできない
屋根材によっては塗装メンテナンスを行うことによって屋根材の機能が回復するということがあるのですが、パミールの場合は上記のような特徴があるため、塗装をすることができません。
また、塗装だけでなく、表面から剥がれていくという特徴があるために太陽光パネルなどを設置するのにも適していません。
できるだけ屋根材に負担をかけないということが重要なのです。
このようにパミールは塗装メンテナンスを行うことができないため、「カバー工法」か「葺き替え工事」を行うこととなります。
近年増加してきているカバー工法
近年利用が増加傾向にあるのが「カバー工法」です。
カバー工法とは既存の屋根を撤去することなく、その上に新しい屋根を作るという工法です。
屋根が二重になることで「断熱性を高める」「遮音性を高める」「雨漏りしにくくする」といったメリットがあるのですが、「屋根が重くなる」というデメリットがあります。
カバー工法では軽くて丈夫な金属屋根が多く使われています。
ガルバリウム鋼板の屋根材、エスジーエル鋼板の屋根材などが代表的です。エスジーエル鋼板屋根材には、弊社でもお勧めしている「スーパーガルテクト」や「横暖ルーフ」など、いくつかの種類がございます。
また、カバー工法は葺き替え工事と比べると撤去する時間、手間、処分費用などを省くことができるため、少し安く費用を抑えることができます。
パミールの場合は金属屋根を使ってカバー工法を行うというのが一般的です。
確実なのは葺き替え工事
メリットの多いカバー工法ですが、どのような場合でも利用できるという工法ではありません。
例えば、パミールの劣化が一定までであればカバー工法が利用できるのですが、あまりにも劣化が進みすぎている場合はカバー工法は利用できません。
パミールの劣化がひどい場合は屋根材だけでなく、下地部分、野地板やルーフィングまでがダメージを受けていることが多いからです。
カバー工法は新しい屋根を既存の屋根の上に作るものですので、既存の屋根の部分については補修工事はできなくなります。
そのため、既存の屋根の劣化がひどすぎる場合にはカバー工法は利用できないのです。
このように既存の屋根が劣化しすぎている場合には葺き替え工事を行うこととなります。
こちらは既存の屋根をすべて撤去して新しい屋根を作っていく工事です。
屋根材だけでなく、下地についてもすべて新しいものに交換し、その上に新しい屋根材を設置していきます。
すべてが新しい部材になるので補修効果も非常に高い工事となりますが、既存の屋根をすべて撤去する必要があるため撤去費用、処分費用、時間や手間などが多くかかることとなります。
パミールから葺き替え工事を行う際には軽くて性能が高い金属屋根などに葺き替えることが多くなっています。
パミールの補修工事を行う際の注意点
上記のようにパミールはスレート屋根ではありますが、塗装メンテナンスを行うことができません。
そのため補修工事を行う際にはカバー工法か葺き替え工事を行うこととなります。
ここではそういった補修工事を行う際の注意点について紹介していきます。
屋根材を選ぶ際はいくつかのパターンを考える
パミールからカバー工法や葺き替え工事を行う際には他の屋根材を選ぶ必要があります。
金属屋根の中にもガルバリウム鋼板、エスジーエル鋼板の屋根材があり、製品も多く出ています。
また、それらの中にも断熱材が一体化している製品などもあります。
どういった屋根材、製品を選ぶかによって費用もかなり変わってきますし、屋根としての性能も変わってきます。
そのため、一つに決めてそれだけで判断するのではなく、いくつかのパターンで見積もりを出してもらうということが重要です。
どういった費用になるのか、どういった性能の屋根になるのかというのをいくつかのパターンで比較して選んでいくということができれば、希望に近いものを選ぶことができるようになります。これは業者に依頼すれば出してもらえるので、まずは相談してみましょう。
地方自治体の助成金やリフォームローンを使うことができる
パミールの屋根から大規模な補修工事を行う際には多額の費用がかかることとなります。
大きな出費となるので、現金一括で支払うのが難しいということもあるかもしれません。
そういった場合は自治体の助成金を利用するという方法があります。
自治体によっても条件や金額は違うのですが、屋根の補修工事を行う際に条件を満たしていれば助成金が利用できるという場合があります。
また、リフォームローンを組むという方法もあります。
これは、
- ・住宅ローンを組んでいる金融機関
- ・他の銀行のローン
- ・施工業者が提携しているクレジット会社のローン
などでローンを組んで、支払回数を分けて支払いをしていくというものです。
この場合、全額をローンで組むという方法もありますし、半額を現金で支払って残額をローンにするという方法もあります。
例えば、総額が200万円だった場合、先に一括で100万円を支払い、残りの100万円をローンにするということも可能です。
これも合わせて相談してみると良いでしょう。
まとめ
パミールは大きな社会問題となったスレート屋根です。
大手建材メーカーが販売していたということもあって広く普及していたため、その被害も大きくなりました。
表面が層状剥離してくるために塗装メンテナンスを行うことができないため、補修工事を行う際には「カバー工法」か「葺き替え工事」を行うこととなります。
劣化が進んでいる場合はできるだけ早く対処することが重要です。
弊社では、パミール屋根材かどうか見極めるための屋根点検、そしてパミール屋根材のカバー工法や葺き替えなどの実績も多数ございますので安心してお気軽にご相談くださいませ。
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