雨樋も雨漏りの原因に?雨樋の役割とメンテナンス方法を解説
2023/08/23
雨樋は屋根に降った雨水を適切に外部に排出するために活躍する部位です。
しかしこの雨樋にトラブルが起きると雨樋自体が雨漏りの原因になってしまうことがあります。
そこでここでは雨樋が果たしている役割とメンテナンス方法について紹介していきたいと思います。
雨樋のそれぞれの部位について
多くの建物の屋根の外側、外壁の上部分に設置されているのが雨樋です。
雨樋は屋根の上に降った雨水を屋根から建物の外側に配水する働きをしています。
単純に「雨樋」と呼ばれることが多い部位ですが、実はいくつかの部位によって成り立っています。
まずは雨樋のそれぞれの部位と簡単な働きについて紹介していきます。
軒樋について
屋根の軒先部分、外側部分に屋根と平行になるように設置された雨樋が「軒樋」です。
屋根に降った雨水がそのまま落ちていくと外壁にかかったり、建物の内部に向かって流れてしまうために、雨水をしっかりと受け止めて、集水器に向かってその雨水を適切に流していくという役割があります。
普通は「雨樋」というとこの軒樋の部分を思い浮かべる人が多くなっています。
集水器とは
この集水器は「軒樋」と「竪樋」の間の連結部分に設置されている部位です。
集水器では軒樋から流されてきた雨水をこの部分に集めて、あちこちにこぼれていかないようにして竪樋に流し込んでいくという役割を果たしています。
軒樋によって横方向から集められてきた水をここでまとめて縦方向(下方向)に流していくための部位だと言えます。
普通は集水器と呼ばれますが、「集水桝」と呼ばれることもあります。
竪樋とは
軒樋が横方向に流れるものとすれば、この竪樋は屋根とは垂直になるように設置されている縦向きに水を流していくための雨樋です。
集水器に集められた雨水建物のを2階部分、3階部分から下に向かって下ろしていき、地上や下水に排出していくという役割があります。
雨樋がなぜ雨漏りの原因となってしまうのか
本来雨水を適切に外部に排出する働きをする雨樋ですが、ここに何かトラブルが起きると正常に機能せずに雨水があふれてしまったり、雨漏りの原因となってしまうことがあります。
軒樋から集水器、竪樋のどこかで問題が起きている可能性があるため、トラブルの原因を解消していくことが重要です。
雨樋に葉っぱやゴミが詰まっていないか
雨樋が雨漏りの原因となる場合、もっとも多いのが「雨樋に何かが詰まっている」ということです。
竪樋は下方向に水を落としていくので落ち葉などは詰まりにくいのですが、軒樋や集水器は葉っぱやゴミが溜まりやすく、これが溜まると詰まってしまうこととなります。
こうして雨樋に葉っぱやゴミが詰まってしまうと雨水が適切に流れていかなくなってしまうのです。
雨樋が詰まってしまうと、雨水が流れていかずに溢れ出てしまうこととなり、
- ・雨樋を正しく通らずにあふれて地上に流れ落ちる
- ・あふれた水は外壁などに雨水が流れ落ちる
- ・溢れた雨水が屋根に戻っていき、屋根から内部に水が浸入しやすくなる
といった問題が起きてくることとなります。
こうして水が正しく流れていかないと屋根に水が浸入しやすくなりますし、外壁にもダメージを与えることとなります。
これらが雨漏りの原因となっていくのです。
雨樋にひび割れが起きている、ズレている、外れている
最近では雨樋にもいろいろな素材のものが増えてきていますが、一般的に使用されているプラスチック系の素材は太陽光や熱の影響で徐々に劣化していくこととなります。
劣化したプラスチックの雨樋が軽い衝撃でも簡単に破損してしまうためにこうした劣化には注意しなければいけません。
経年劣化に限らず、強風で物が飛んできて雨樋に当たって破損させるということもあります。
また、強風によって雨樋が元の位置からにズレてしまったり、固定具から外れてしまうということもあります。
雨樋がひび割れしている、ズレている、外れているという状態になると正しく雨水を外部に排水することができなくなるので、雨漏りが起きる原因となります。
雨樋が歪んでいる、曲がっていて勾配不良が起きている
雨樋は、
- ・雨樋自体の経年劣化
- ・強風や豪雪
- ・太陽光による高温が原因の変形
などが原因となって歪んだり、曲がったりすることがあります。
雨樋だけでなく固定している金具が腐食したりすることが原因になる場合もあります。
固定している金具部分が腐食している、変形してくると雨樋が正しい位置で設置されないこととなるために曲がってしまう、外れてしまうという原因になります。
また、基本的に水は高いところから低いところに流れていきます。
そのため、勾配が重要となるのですが、この勾配が正しい状態ではなくなると雨水が正常に流れていかないこととなります。これも雨漏りの原因となってしまうのです。
屋根材を違う素材のものに変更した
最近では屋根を違う素材のものに葺きかえるということが増えてきています。
スレート屋根だったのを金属屋根に変更したといった場合や、スレート屋根に金属屋根を重ねる屋根カバー工法を行った場合などには軒の出幅が変わってくることとなります。
以前と比べて軒の出幅がほとんど同じ場合には雨樋もそのまま設置していて問題ないことが多いのですが、出幅が大きく変わった場合には雨樋の取り付け直し工事が必要となる場合があります。
これは「スレート屋根」「瓦屋根」「金属屋根」では雨樋の適正位置が大きく違っていることが関係しています。
特にカバー工法を行うことで出幅が変わり、屋根に降った雨水が雨樋にしっかりと入らずに外側にあふれ出てしまうことがあります。
このように屋根材を変更した場合には雨樋の位置の変更が必要となる場合があるのです。
雨樋を適切にメンテナンスしていく方法について
雨樋でもっとも多いのが「詰まり」であり、何かが詰まってしまうと雨漏りの原因となっていきますので、雨樋は定期的にメンテナンスをする必要があります。
ここでは雨樋を適切にメンテナンスしていく方法について紹介していきます。
雨樋の掃除を定期的に行う
一般的に雨樋の軒樋は上側が開いている形状となっていますし、集水器も上側が広がって開いています。
そういった形状のため、葉っぱなどのゴミが詰まりやすくなっています。
最近では軒樋や集水器に蓋がついている製品もありますが、上側の蓋は完全に閉じてしまうわけにはいかないので穴が開いています。この穴からゴミが入ってしまうことはどうしても発生します。
軒樋などに入ったゴミが少量であれば大雨などの際に雨水で流れてしまうことがあるのですが、長い間雨が降らなかったり、葉っぱやゴミが多すぎるとどうしても溜まっていき、詰まることとなります。
特に建物の近くに木がある家などは落ち葉が多く、その落ち葉が雨樋が詰まりやすい環境となっています。葉っぱやゴミが雨樋に詰まるのを防止するためには定期的に雨樋の掃除をするということが効果的です。
雨樋の掃除をする際には重要な注意点もあります。
雨樋は普通は高い位置に設置されているために2階部分や3階部分の雨樋の掃除をする場合は高所となるために危険が伴います。
安全が確保できないような高い場所を掃除する際には自分で行うよりも専門の業者に依頼したほうが安全です。
また、掃除というと水を流すというイメージがありますが、葉っぱやゴミがある状態の時にむやみにホースで水を流すと集水器などそのゴミが詰まってしまう場合があります。
雨樋を掃除する場合はホウキなどで掃いてゴミを集めたり、手で大きなものを拾い集めるということになります。
水で流すのは手で拾えないような小さいゴミばかりになった時だけです。
雨樋を一度外してメンテナンスを行う
確実に雨樋をメンテナンスする方法として、一度雨樋を外してゴミが詰まっている部分を丁寧に掃除するという方法があります。
雨樋を外して徹底的に掃除するために、雨樋のどの部分にどれだけゴミが詰まっているかが分かりやすく、掃除も安全にできるのでおすすめの方法です。
ただ、
- ・元の状態に正しく設置することができること
- ・外す際や設置する際に無理やり行わないこと
- ・もとからあった部品を無くさないようにすること
といった点には注意しなければいけません。
これも自分でできないと判断する場合には専門の業者に依頼しましょう。
雨樋を交換する
雨樋は葉っぱやゴミが詰まったりして雨水が流れなくなる、詰まってしまうということがありますが、太陽光や風などによっても経年劣化していくものでもあります。
雨樋が劣化していくとひび割れしやすくなったり、破損するという可能性が増えていきます。そうした場合には交換が必要となります。多く使用されている雨樋は「塩ビ製」のものです。塩ビ製の雨樋は耐用年数が「15~20年」ほどですので、これくらいの時期になると雨樋の交換をしていくと良いでしょう。
また、交換する際には劣化している一部だけを交換するのではなく、同じ時期に設置したものはすべて交換するのが安全です。
どこか一部分が破損するたびに交換するというのは工賃が別々にかかるために余計に費用がかかってしまいます。
また、高い位置の工事を行う際には「足場」の費用がかかってくるために何度も行うのは効率が悪いこととなります。
外壁塗装や屋根の工事で足場を組む工事がある場合はそれと同時期にやってしまえば、全体的な費用を抑えることにもつながります。
まとめ
雨樋は本来雨水を適切に外部に排出するための部位ですが、葉っぱやゴミで詰まってしまう、劣化して破損してしまうということによっては逆に雨漏りの原因となってしまう部位でもあります。
そのために定期的にメンテナンスを行い、必要に応じて補修や交換などを行っていくことが重要となるのです。