屋根に必要な貫板とは?種類や役割について解説
2024/01/24
屋根の部材というと屋根材がもっともイメージしやすいかもしれません。
たしかにもっとも見える範囲が広く、範囲も大きいためです。
ただ、実際には屋根には多くの部位があり、それらがそれぞれの役割を果たしていることで屋根を支えています。
ここではそれらの中から「貫板」の種類や果たしている役割について紹介していきたいと思います。
貫板について
貫板とは簡単に言えば「棟板金を固定する部材」なのですが、それだけではイメージしにくいかもしれません。
そこでここではまず貫板の概要、役割、劣化などについて紹介していきます。
貫板の概要とは
「貫板」はスレート屋根などで使用される棟板金を固定するための下地材のことを指します。
棟板金自体は屋根の棟と呼ばれる部分に設置される板金なのですが、その内部には貫板と呼ばれる板状の部材があり、その貫板に棟板金を被せて釘を打ったり、ビスを使って固定しています。
以前は木製の貫板が使用されることが多かったのですが、木製の貫板は水分によって腐食するという特徴があるため、近年では樹脂製のものが増えてきています。
樹脂製のものは木製のものと比べると経年劣化しにくいという特徴があります。
「棟」とは屋根のもっとも高い位置にある部分で、棟板金は屋根の頂上部分を保護する重要な役割を果たしています。
貫板はその棟板金を固定するための土台となる部分ですので、この部分が破損してしまうと屋根の頂上部分から雨水が浸入してしまうこととなります。
貫板の劣化とは
貫板は棟板金によって覆われている形状をしているため、本来であれば雨風を直接受けるということはありません。
しかし実際には設置して時間が経つことによって棟板金を固定している釘穴やビス穴などから内部に雨水が浸入してきます。
こうして棟板金の内部に水が浸入してくると、木製の貫板などはその水分や湿気によって傷み、腐食していくのです。
貫板が腐食する、劣化するという状態になると棟板金を固定している釘やビスの固定力が弱まってきます。
固定力が弱まることで、釘が抜けてしまう、ビスが外れてしまうということにつながり、固定されなくなった棟板金が外れてしまう、落下してしまうということにつながるのです。
もし棟板金が外れてしまったりすると屋根の頂上部分から雨水が大量に屋根の内部に侵入することとなります。
わずかな水の侵入であればルーフィングなどで防げるかもしれませんが、大量に水が入ることによってルーフィングも支えきれなくなり、雨漏りの原因となってしまうでしょう。
さまざまな理由で固定力は弱まる
棟板金と貫板を固定するということがもっとも重要となるのですが、実はさまざまな理由で固定力は弱まっていきます。
まず一つ目の原因として「錆び」があります。
これは鉄の釘を使って固定している場合に多いのですが、釘が錆びてしまうことで固定力が弱まるということがあります。
これを防ぐために錆びにくいステンレス製のビスを使って固定するということが増えてきています。
二つ目に「熱膨張」があります。
棟板金が金属製のものである場合、太陽光に当たることで温度が高くなると熱膨張と呼ばれる膨張を起こします。
この時、釘やビスも引っ張られていくのです。
そして温度が低下すると収縮していくのですが、釘やビスは緩んだままとなります。
これを繰り返すことによってどんどん釘やビスが緩んでいくのです。
その他にも地震、台風などで棟板金が揺らされて釘やビスが緩むということもあります。
貫板のメンテナンスについて
貫板を長持ちさせていくためには定期的にメンテナンスを行う必要があります。
しかし実際には貫板は棟板金の中に設置されていますので、棟板金を外さなければメンテナンスを行うことができません。
そのため、貫板単独でメンテナンスをするのではなく、屋根の点検時、棟板金の点検時に一緒に行うというのが普通です。
そこでここでは棟板金と貫板のメンテナンスについて紹介していきます。
釘の打ちなおしやビスの締め直しを行う場合
経年劣化が進むことで釘やビスが緩んでいき、固定力が弱くなるということがあります。
この際、棟板金や貫板自体が劣化していない場合は釘の打ち直しやビスの締め直しが行われることがあります。
一般的には棟板金の釘は8~10年ほどで緩くなってくるとされています。
ただ、日差しが特に強い、雨がよく降る、風が強いといった地域ではそれだけ負担も多くかかりますので5~7年ほどで緩くなることがあります。
こういった時期のメンテナンスで、貫板が劣化していないか、棟板金は破損していないかということを確認し、固定力がしっかりと保たれているかどうかを確認しておきましょう。
棟板金の釘を打つ際には真上から打つ「脳天打ち」では釘穴部分に隙間ができることがおおくあるため、この打ち方は使用しません。
隙間を作らないように側面から釘を打ち込む方法を利用します。
屋根塗装、棟板金塗装を行う場合
貫板と棟板金を確認した際に棟板金がひび割れ、破損、欠けているといった状態の場合は新しいものに交換する必要があります。
ただ、破損はしておらずに色褪せが起きている程度であれば塗装をし直す場合があります。
この場合、棟板金単独で塗装をするということはあまりなく、屋根全体の塗装を行う際に一緒にするということが多くなっています。
この時に貫板の状態を確認すると良いでしょう。
棟板金の周囲のコーキングを行う場合
貫板や棟板金に異常がなかったとしても棟板金の周囲に打っているコーキングが劣化しているという場合もあります。
コーキングは5年程度で劣化してくる場合がありますので、定期的にメンテナンスを行っていないと劣化、ひび割れ、破損していくことがあります。
コーキングがぼろぼろと崩れていくとそこから雨水が浸入していき、中にある貫板が濡れることで劣化していくということがあります。
貫板や棟板金に異常はなくてもその周囲が劣化していることがあるので注意しましょう。
ただ、棟板金については中に湿気が溜まらないようにするための必要な隙間もあります。
この隙間までコーキングで埋めてしまうと棟板金の内部の換気ができなくなり、中に湿気が溜まってしまいます。
湿気が溜まるとすぐに貫板にダメージがいきますので、コーキングを打つ場所には注意が必要です。
貫板や棟板金を新しいものに交換することについて
貫板が劣化している、腐食しているという時には新しいものに交換することとなります。
棟板金についても劣化している、腐食している、破損している、塗装できないほど色褪せしているという時には新しいものに交換することとなります。
ここではそんな貫板や棟板金の交換について紹介していきます。
貫板の交換について
貫板が劣化してきた場合は新しいものに交換することとなります。
以前は木製のものが主流でしたので、貫板がダメになったら新しい木製の貫板に交換していたのですが、近年は劣化しにくい樹脂製の貫板に交換するということが増えています。
木製の貫板の場合は鉄の釘で棟板金を固定するのが一般的ですが、樹脂製の貫板の場合はビスを使って固定することが多くなっています。
劣化している貫板を解体して撤去して新しい貫板を設置し、そこに棟板金を固定して交換が完了となります。
素材にもよりますが、1mあたり5000~10000円ほどの費用が交換費用となります。
棟板金の交換について
棟板金についても破損している、腐食している、欠けているといった時には新しいものに交換することとなります。
貫板を交換する際には必ず棟板金を外してメンテナンスを行うため、どちらかだけを点検するということはまずありません。
貫板を交換する際でも棟板金にまったく異常がないのであれば、そのまま再利用することが可能です。
ただ、棟板金を外している時でなければその下地である野地板やルーフィングを点検することができないため、これらもまとめて点検するというのが一般的です。
棟板金だけであれば1mあたり7000~12000円ほどの交換費用となります。
貫板や棟板金を交換する際の注意点とは
貫板や棟板金は劣化したり、破損している場合は交換することとなるのですが、その際いくつかの注意点があります。
ここではそんな注意点をいくつか紹介していきます。
【交換はできるだけまとめて行う】
屋根で工事をする際には足場を組み立てる必要があります。
足場の組み立てには時間や費用がかかってきますので、できるだけ工事はまとめて行う方が効率的となります。
貫板だけ、棟板金だけを交換するのではなく、棟板金を外した際に野地板やルーフィングなどの下地、貫板などもすべてまとめてメンテナンスを行い、交換してしまった方が良いと言えます。
【耐久性や性能が高いものに交換する】
貫板や棟板金は屋根の上にある部材のため、頻繁に確認することができません。
そのため、できるだけ耐用年数が高い、性能が高いものにしておくと安心です。
特に昔の建物などでは貫板が木製の場合が多くなっています。
棟板金についても古い鉄製のものが使われていたりしますので、貫板を樹脂製のものに、棟板金をガルバリウム鋼板のものに交換することで耐用年数を長くすることが可能となります。
古くなったものを交換するときは新しい素材のものを使用する良い機会ですので、この時に交換してしまうのが良いでしょう。
まとめ
貫板は屋根の頂上部分である棟を守る重要な場所に存在しています。
貫板が劣化する、破損することによって棟板金を固定することができなくなってしまいます。
棟板金がズレてしまう、外れてしまうという状態になると隙間から雨水が浸入することにもなりますし、完全に外れると落下してしまうという危険性もあります。
最近は耐用年数が長い樹脂製のものも増えていますので、こうしたものに交換するのもおすすめです。
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