なぜ屋根修理の足場は必須なのか?理由と気になる設置費用について解説
2023/08/23
屋根の工事を行う際などには「足場」を組む必要がある場合があります。
必ず必要になるというわけではなく、その建物の大きさや形状、立地などにもよるのですが、やはり組まなければ工事ができないということもあります。
そこでここでは屋根修理の際になぜ足場が必須となるのか、その理由や設置費用について紹介していきたいと思います。
屋根足場とはどういったものか
「屋根足場」とは屋根の塗装工事、葺き替え工事を行う際に屋根自体に設置する足場のことを指しています。
屋根足場は外壁工事の際に利用される外壁足場とは違うものです。
外壁の周囲に設置される足場とは違って「単管パイプ」と「クランプ」を使って屋根の面に対して平行に組み立てることが多くなっています。
一般的な住宅の場合、屋根の勾配が「3~5寸ほど」となっているため、足場が必要ないということもあります。
ただ、屋根勾配が「6寸を超える勾配」の場合は屋根足場を設置しなければいけません。
また、最近では安全面などから勾配に関係なく足場を設置するということもあります。
なぜ屋根足場が必要となるのか
屋根足場は設置するのに時間も費用もかかるものです。ではなぜそうまでして足場を組む必要があるのでしょうか。
ここでは屋根足場を組む必要性について紹介していきます。
工事を行う際の安全性の確保のため
屋根足場を組む大きな理由の一つとして「安全性の確保」というものがあります。
勾配が急な建物の屋根では足元が滑りやすく、そのうえで作業を行う職人にとっては常に落下の危険性があるということになります。
屋根工事で塗装や屋根材の葺き替えなどを行う際には両手で行っているためにやはり安全のためには足場が必要となるのです。
基本的に高所で作業を行う場合には安全帯や墜落防止器具を装着することが義務付けられています。
こうした安全帯のフックを取り付ける場所としても屋根足場が必要となるのです。
もちろん使う必要がなかったというのが一番良いのですが、万一に備えるという意味でも安全性の確保が必要となるのです。
丁寧で質の高い作業を行うため
屋根の上で丁寧で正確な作業を行うためには足元が安定している、姿勢を安定して保てるということが重要となります。
不安定な姿勢のまま塗装や屋根材の葺き替えをすると作業の質が悪くなる可能性があるのです。
特に屋根材に断熱性、遮熱性を高める塗料を塗装する際などはムラなく丁寧に塗装しなければいけません。
屋根足場を組むことによって、しっかりとした足元を確保することができ、姿勢を安定させることができるために作業の質を向上させることができるようになるのです。
近隣住宅や近所への人への配慮のため
屋根の工事をしているということは遠くから見てもわかるものです。
そこで屋根足場を組まずに工事をしている姿は外目からも危険だとわかる作業となります。
屋根足場を設置して工事をするということで、職人の落下防止など安全性の確保ができるために近隣住民に安心を与えるという効果があります。
また、屋根足場を設置することによってそこに飛散防止ネットを設置することが可能となります。
屋根の塗装を行う際には塗料が飛散しないように注意しなければいけないのですが、飛散防止ネットを設置することで、近隣の建物や通行人に塗料がかかってしまうことを防ぐことができます。
これらのように屋根足場は「安全性の確保」「質の高い作業」「近隣への配慮」などのために必要なものとなっているのです。
屋根足場の種類とは
屋根足場にはいくつかの種類があります。
それぞれに特徴があるため、それらの違いについて紹介していきます。
くさび緊結式足場(ビケ足場)
現在主流となっている足場です。
作業床、通行床として鉄製の幅40cmほどの板を敷いて組み立てられています。
足を乗せることができる幅が広いので、安全で楽な姿勢で作業を行うことができます。
組み立てや解体も効率的なものとなっているのですが、しっかりと固定していくために足場のパイプや作業床をハンマーで叩いて組み立てていきます。
そのために足場を組み立てる際などはかなり騒音が出るというデメリットがあります。
パイプ(単管)足場
昔によく使われていた足場です。
この足場はパイプを連結させるための金具で連結して組み立てていくものですが、作業をする際には作業床がなく、2本のパイプの上で作業をすることになるため、安定性がありません。
危険度が高いために、最近は減少してきており、ある程度の大きさの建物以上ではこの足場で作業をすることが禁止されています。
そのため、最近ではビケ足場を組むことができないほど狭いスペースの場合か、部分足場として使用されることが多くなっています。
単管ブラケット足場
こちらはパイプ(単管)足場にブラケットと呼ばれている金物を使って板を取り付けたものです。
ビケ足場は板をハンマーを使ってしっかりと固定しているのに対して、こちらはボルトを締めて組み立てていくこととなります。
そのため、パイプ(単管)足場よりは足元は安定しますが、ビケ足場ほどの安全性はないという足場になっています。
足場の費用はどれくらいかかるか
では実際に足場を組み立てる際にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
もちろん地域や立地条件によっても変化はしてきますが、ここではおおよその相場について紹介していきます。
単価について
地域にもよりますが一般的な屋根足場の単価は1㎡あたり「1000円ほど」が多くなっています。
この単価に足場の面積を掛けて基本費用を出していくこととなります。
例えば足場の面積が60㎡だった場合は、
60×1000=60000
ということになります。
屋根足場は外壁の周囲に設置する足場と比べると少し高いという特徴があります。
これは地面から組み立てるのではなく、屋根の上での組み立てや解体作業を行う必要があるためで、作業に手間がかかる分だけ単価が高くなるということです。
ただ、屋根の勾配、使用する足場、立地条件などによって「600~1500円」程度の幅があると考えておけば良いでしょう。
実際にかかってくる費用は
実際に足場費用としてかかってくるのはその建物の条件にもよるのですが、基本的には広くなるほど高くなるという形になります。
ほかには、屋根の勾配が急になるほど足場の組み立てにも時間や手間がかかり、費用が高くなる傾向があります。
また、屋根足場だけを組み立てるということはできませんので、外壁の周囲に設置する足場とセットで考えなければいけません。
そう考えると一般的な大きさの建物であれば足場費用は「10~20万円程度」になることが多いようです。
費用が高くなる要素としては、道幅が狭く大型車両が通行しにくい、機材や建材を運びにくい、高低差が大きい立地、建物が広くて高いといった点があります。
こうした建物の足場は費用が高くなる可能性があります。
足場に関するトラブルや注意点
足場は建物の工事を行う際にもトラブルが起きやすいものです。
ここではどういったトラブルが起きやすいのか、どういった点に注意しておかなければならないのかについて紹介していきます。
足場を組む前の周囲の確認と瑕疵保険の範囲を確認しておく
足場の組み立てや解体の際に建物の外壁、カーポート、窓ガラス、車などを傷付けてしまうということがあります。
自分の家だけでなく、隣の家を傷つけるということもあるのです。
もちろんこういった場合は補償されるのが普通なのですが、屋根工事業者が直接足場を組むのではなく、足場専門の業者に下請け依頼していることも多いのでどこに責任があるのかがあいまいになる場合があります。
工事を正式に依頼する前に足場業者が瑕疵保険に加入しているかどうか、補償範囲がどこまでなのかを必ず確認しておきましょう。
近くの車や自転車などはできるだけ移動しておく
もちろん自転車や車があったとしても傷付けられたりするのはトラブルになるのですが、移動できるのであれば移動しておいたほうが安全です。
また、車などがないほうが足場を組み立てやすいというメリットもあります。
工事期間中は別に車を駐車できるように手配しておくとより安全だと言えるでしょう。
外壁のすぐそばに車をとめている場合などはお互いに不利益になります。
花壇や家庭菜園などが邪魔にならないか
鉢植えなどであれば簡単に移動することができるのですが、本来足場を組みたい場所に花壇や家庭菜園がある場合は注意が必要です。
どうしてもそこにあると足場が組めないという場合には植え替えをする必要が出てきます。
庭などで花壇や家庭菜園があるという場合には事前に植え替えの必要があるかどうかも確認しておきましょう。
隣の家の敷地を借りる可能性がある
足場に関するトラブルでもっともやっかいなのが隣家とのトラブルです。
特に隣家とのスペースがそれほどない場合などは自分の家の敷地内だけで足場を組めないということがあります。
この場合は隣の家の敷地を借りて足場を組む必要が出てきます。
こうした際に「勝手に足場を組んだ」「足場を組む際に隣家を傷つけた」「隣家が敷地を貸すことを断った」などがトラブルに発展することがあります。
特に勝手に足場を組んで隣家を傷つけた場合などは裁判沙汰になることもあります。
丁寧な業者であれば隣家にお願いに行くときに同行してくれることもありますので、どうしても隣家の敷地を借りなければいけない時などは丁重にお願いしにいきましょう。
まとめ
屋根工事を行う際には足場を組むということが多くなっています。
これは安全性の確保、近隣住民の安心、作業の質を高めるといった理由のためです。
屋根足場を設置する際には外壁の周囲の足場もセットで組むためにどうしても費用はかかってきますが、それらの必要性があるということを踏まえたうえで依頼していきましょう。