陸屋根の雨漏りはなぜ起こる?主な原因と最適な修理方法
2025/02/26
陸屋根(ろくやね)とは、勾配がほとんどない平らな屋根のことを指します。一般的に、ビルやマンション、工場、倉庫などで採用されることが多い屋根形状です。しかし、陸屋根は雨水が流れにくいため、雨漏りのトラブルが発生しやすいのが特徴です。
本記事では、陸屋根の雨漏りの主な原因と、その修理方法について詳しく解説します。雨漏りを防ぐためのメンテナンス方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
陸屋根の雨漏りが起こる主な原因
①防水層の劣化
陸屋根の防水層は、建物を雨水から守る最も重要な部分の一つです。しかし、経年劣化によって次第に機能が低下し、雨漏りの原因となります。防水層の劣化が進行すると、屋内への浸水リスクが高まり、建物の耐久性にも悪影響を及ぼします。
防水層が劣化する主な原因は3つあります。まず1つ目は経年劣化です。建物を長年使用していると自然に劣化していきますが、特に気を付けたいのが夏と冬の温度差による伸び縮みでひび割れが起きやすいという点です。このひび割れを放っておくと雨水が入り込んで、建物の構造材が腐食してしまう恐れがあります。
2つ目は環境による影響です。平らな屋根は水はけが悪いため、雨水が溜まりやすい特徴があります。そのため常に水分や湿気にさらされ、劣化が早まってしまいます。また日光に含まれる紫外線によって防水層の材質が徐々に分解されていきます。特に塩ビシートやウレタン防水は紫外線の影響を受けやすいので、トップコートで保護する必要があります。
3つ目は施工時の品質に関する問題です。防水層が薄すぎたり、しっかりと接着されていなかったり、継ぎ目の処理が適切でない場合、早い段階で劣化が進んでしまうことがあります。これらの問題は工事が終わった直後にはなかなか気付きづらく、数年たってから問題が表面化することもございます。
防水層の種類ごとの耐用年数
防水工法 | 耐用年数 |
ウレタン防水 | 10〜15年 |
FRP防水 | 10〜20年 |
シート防水(塩ビ・ゴム) | 15〜20年 |
アスファルト防水 | 15〜25年 |
防水層の耐用年数は上記のようになっていますが、定期的な点検や適切な補修を行わないと、耐用年数よりも早く劣化が進行することがあります。例えば、ひび割れや剥がれを放置すると、そこから水が浸入し、下地の劣化が進んでしまいます。そのため、5年ごとの点検やトップコートの再塗装など、適切なメンテナンスを行うことが大切です。
②排水不良(ドレンの詰まり)
陸屋根では、勾配がほとんどないため、排水設備(ドレン)が正常に機能しないと、雨水が滞留しやすくなります。特に、排水口(ドレン)が詰まると、屋根全体に水たまりができ、防水層に過度な負荷をかけることになります。
排水不良の主な原因は、大きく3つあります。1つ目は、建物の周りの落ち葉や枝、風で飛んでくるゴミや砂ぼこりなどが排水口に溜まってしまい、水の流れを悪くしてしまうことです。2つ目は、陸屋根を作る際に適切な水はけの角度が取れていないため、雨水が排水口まで上手く流れていかない状態になってしまうことです。3つ目は、排水口そのものが壊れていたり、長年の使用で防水層が傷んでしまったりすることで、排水がうまくいかなくなったり、水漏れの原因となることがあります。
排水不良による影響
陸屋根の排水不良は、複数の深刻な問題を引き起こします。まず、雨水が適切に排水されないことで水たまりが形成され、防水層に過度な負荷がかかります。この状態が長期化すると、滞留した水分によってカビやコケが発生し、防水層の劣化を加速させます。また、気温変化により水分が膨張・収縮を繰り返すことで、ひび割れが生じる可能性があります。特にドレン周辺の防水層が劣化すると、雨水が建物内部へ浸入し、天井や壁にシミや腐食などの損傷を引き起こす恐れがあります。
排水不良を防ぐための対策
排水不良を防ぐための対策として、半年に1回程度のドレン清掃を実施し、落ち葉やゴミの蓄積を防ぐことが重要です。また、ドレンにフィルターを設置することで、ゴミや落ち葉の詰まりを効果的に防止できます。さらに、建物の設計上可能な場合は、ドレンを増設することで排水効率を向上させることができます。
陸屋根の雨漏り修理方法
防水工事による修理
陸屋根の雨漏りを根本的に修理するには、防水工事が有効です。
工法 | 特徴 | メリット | デメリット | 費用相場(/㎡) |
---|---|---|---|---|
ウレタン防水 | 液体状のウレタンを塗布し、防水層を形成 | 施工が容易で複雑な形状にも対応可能 | 耐久性はやや低め(10〜15年) | 4,000〜7,000円 |
FRP防水 | ガラス繊維入りの防水層を形成 | 高耐久で強度が高い | 衝撃に弱く、ひび割れやすい | 5,000〜9,000円 |
シート防水(塩ビ・ゴム) | 防水シートを貼り付けて防水層を作る | 施工がスピーディーでコストパフォーマンスが良い | 下地の状態によっては施工が難しい | 3,000〜8,000円 |
ドレン清掃・排水設備の修繕
落ち葉やゴミがドレンに詰まってしまうと、屋根の水はけが悪くなり、雨水が溜まってしまいます。そうすると、ドレンの周りの防水層が徐々に劣化し、建物の内部に水が入り込みやすくなってしまいます。このような問題を防ぐため、専門家としては年2回程度の定期的な清掃をお勧めしています。
排水設備の改善方法として、まずドレンにフィルターを設置することで大きなゴミの詰まりを防ぐことができます。また、既存の排水口だけでは処理能力が不足する場合は、新たにドレンを増設して排水能力を向上させることが効果的です。さらに、オーバーフローパイプを設置することで、大雨時にドレンが詰まった場合でも水を適切に排出することができます。
屋上設備の防水処理
屋上にはエアコンの室外機や太陽光パネルなどの設備が設置されていることが多いのですが、これらの設備は防水処理が適切でないと雨漏りの原因になってしまいます。具体的には、設備を固定するためのボルトやアンカー穴からの水の侵入や、配線・配管の隙間からの水漏れ、また設備の重さで防水層が傷むといった問題が起こりやすいです。
これらの問題を防ぐためには、設備の下に防水シートを敷いて防水層を保護したり、設備の固定部分や配線が通る場所にしっかりとシーリング処理を施したりすることが大切です。また、設備を設置した後も定期的に点検を行い、劣化が見つかった場合は早めに補修することをお勧めします。そうすることで、雨漏りを未然に防ぐことができます。
陸屋根の雨漏りを防ぐためのメンテナンス
陸屋根はフラットな構造のため、雨水が滞留しやすく、雨漏りのリスクが高い特徴があります。適切なメンテナンスを行うことで、雨漏りを未然に防ぎ、建物の寿命を延ばすことが可能です。本章では、陸屋根の雨漏りを防ぐための具体的なメンテナンス方法について詳しく解説します。
定期点検の重要性
陸屋根の防水性能を維持するためには、定期的な点検が不可欠です。特に、以下のポイントを重点的に確認することで、初期段階の劣化を見つけやすくなります。
防水層の劣化
陸屋根には防水シートや塗膜防水が施されていますが、経年劣化によりひび割れや浮きが発生することがあります。劣化が進むと防水性能が低下し、雨漏りの原因となるため、表面の変化を定期的に確認しましょう。
ドレン(排水口)の詰まり
陸屋根には雨水を排水するためのドレンが設置されていますが、落ち葉やゴミが詰まると排水不良が発生し、水たまりができやすくなります。水が長時間滞留すると防水層の劣化を早めるため、こまめに清掃しましょう。
設備周辺の防水状態
屋上にはエアコンの室外機や配管が設置されていることが多く、これらの周囲は防水層が傷みやすい箇所です。特に配管の接合部や支持金具の周辺は、シーリングの劣化による隙間が生じやすいため、慎重にチェックしましょう。
【定期点検の頻度の目安】
・最低でも年に1回は点検を実施
・台風や大雨の後には追加でチェック
・10年以上経過した建物は専門業者による診断を検討
小さな劣化を見逃さないこと
陸屋根の防水層は、最初は目立たない小さなひび割れや浮きから劣化が進行します。これらを放置すると、防水層全体にダメージが広がり、結果的に大掛かりな修理が必要になる可能性があります。
初期段階で見られる劣化のサイン
・防水層の表面に細かいひび割れがある
・防水シートの一部が浮いている
・軽く押すとブカブカする箇所がある
・塗膜防水の色が薄くなっている、または剥がれかけている
早めに補修することで、修理費用を抑えられるメリットがあります。広範囲の防水工事と比べて部分的な補修の方が費用を抑えられますし、雨漏りが起きる前に対処することで建物の内部を守ることができます。また、定期的に補修を行うことで防水層を長持ちさせることができ、長い目で見ても効果的です。
陸屋根の劣化が見つかった場合は、小さなひび割れには防水塗料を塗り直し、防水シートが浮いている箇所にはシーリング材で補修するのがよいでしょう。ただし、劣化が進んでいる場合は、早めに専門業者に点検を依頼することをお勧めします。
専門業者に依頼すべき症状
点検や簡単な補修は自分でもできますが、以下のような症状が見られた場合は、早めに専門業者に相談することをおすすめします。
室内に雨漏りの形跡が見られる
天井や壁にシミができている場合は、防水層がかなり傷んでいる可能性があります。そのまま放っておくと、カビが生えたり建物が腐ったりして、建物全体に悪影響が出てしまう恐れがあります。
防水層の傷みが目立ってきた
表面のひび割れや剥がれが広い範囲で見られる場合は、防水層を全面的にやり直す必要が出てくることもあります。特に建ててから10年以上経っている建物は、防水層の寿命も考えて、専門家に見てもらうことをおすすめします。
屋上に水がたまりやすくなってきた
排水がうまくいかずに水がたまりやすくなっている場合は、排水口の詰まりや屋根の傾斜に問題がある可能性があります。水がたまったままの状態が続くと、防水層の劣化が早まり、雨漏りの危険性が高くなってしまいます。
★業者に依頼する際のポイント
業者に依頼する際は、まず施工実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。また、多くの業者が提供している無料点検サービスを活用することで、初期診断の費用負担を抑えることができます。さらに、複数の業者から見積もりを取り、それぞれの補修方法を比較検討することで、必要以上の工事を避け、適切な修理方法を選択することができます。
まとめ
陸屋根の雨漏りは、防水層の劣化、排水不良、施工不良などが主な原因です。これらの問題を放置すると、建物の寿命を縮めるだけでなく、室内への浸水やカビの発生といった二次被害につながる可能性があります。そのため、早めに適切な修理を行い、定期的なメンテナンスを実施することが重要です。
特に、防水層のひび割れや浮きは、小さなうちに補修することで、大規模な修理を防ぐことができます。また、ドレン(排水口)の詰まりを防ぐために定期的な清掃を行い、水はけを良くしておくことも大切です。さらに、新築や改修後の数年以内に雨漏りが発生した場合は、施工不良の可能性も考えられるため、早めに専門業者へ相談しましょう。
「屋上に水たまりができやすい」「天井にシミがある」「防水層の劣化が気になる」といった症状が見られる場合は、早めの対応が必要です。
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