スレート屋根で雨漏りが起きた時の応急措置と正しい対処法
2023/03/31
スレート屋根は、軽量で扱いやすいことから屋根の葺き替えや新築に使用されることが多くなりました。そんなスレート屋根ですが、経年劣化により「ひび割れ・浮き」「など様々な原因で雨漏りを起こすことがあります。
雨漏りなんて人生で何度も体験することがなく、実際に起きると不安になってしまいます。ただ実際に雨漏りが発生した時に応急処置や正しい対処法を知っているのと知っていないのでは、安心感が全然違います。この記事では、スレート屋根についてや雨漏りの原因、応急措置、正しい対処法についてわかりやすく紹介します。
スレート屋根とは
スレート屋根とは、粘板岩を厚さ5㎜くらいの薄い板状にした屋根材であり、修繕工事や新築に多く使われ、【コロニアル】【カラーベスト】【新生瓦】【スレート瓦】【平板スレート】など色々な呼び方があります。また工場や倉庫の波型をした屋根もスレート屋根であり、波型スレートと呼ばれています。
スレート屋根は、軽いので耐震性が瓦屋根よりあるため瓦屋根からスレート屋根に葺き替える人も多くなっており、カラーバリエーションが豊富なために人気もあります。
種類
ストレート屋根の種類は、【化粧スレート」と【天然スレート】の2種類があり、日本で一般的に使われるのがセメントと線維が素材の軽量で扱いやすい【化粧スレート】です。【天然スレート】は、鉱石を使用しているため重量があり、化粧スレートに比べ希少価値があり高価のため日本ではあまり使われておらず、ヨーロッパの大型建築などによく使われています。
デメリットとしては、「ひび割れが起こりやすい」「定期的なメンテナンスが必要」の2つになります。防水塗装されているため一般的なスレート屋根の寿命は、20年〜30年ですが、防水塗装などの定期的なメンテナンスが必要です。
定期的なメンテナンスをやらなかったために経年劣化が寿命より早まり、修理や葺き替えを提案され高額になることもありますので注意してください。
ストレート屋根の雨漏りの原因
釘のずれ・錆
ストレート屋根は固定する釘が下地まで貫通しているため、釘のずれ・錆があると釘穴から雨水が浸水してきて雨漏りの原因になります。釘のズレになる原因としては、木材の湿気による膨張・縮小を繰り返すことで、地震や台風による振動によって釘穴がズレたり・穴が広がりやすくなります。また木材の湿気や雨にさらされることで釘が錆びてしまいます。
棟板金の破損
屋根の頂上部分に設置されているのが棟板金です。天候に影響されやすく壊れやすくなっているのがデメリットで、その壊れた部分が雨漏りの原因になることもあります。また棟板金を止めている釘は7〜10年程で抜けてくるので、定期的なメンテナンスが必要になります。またメンテナンスを怠って、釘を打たずに放置していると抜けた釘の穴のすき間から雨水が入り、腐食していきます。
ひび割れ・浮き
スレート屋根は、温度の変化によって伸び縮みする性質があり、伸び縮みを繰り返すことによって劣化します。その劣化部分に強風や地震などの衝撃や振動によってスレート屋根が浮きやズレ、ひび割れたり破損した部分が雨漏りの原因になっています。
谷板金の破損・さび
屋根の形状によって谷部があるかどうかが決まっています。傾斜のない平らな陸屋根以外の【バタフライ】【鋸屋根】【M型屋根】【複合タイプ】の屋根は谷部にある可能性があります。
谷部の役割は、屋根の上の部分の雨樋みたいなもので屋根に降る雨水を谷部に集めて雨水を逃がす役割をしています。谷部は、ガルバリウム鋼板でできていますが、経年劣化によってサビてくるデメリットがあります。。またそのサビから穴が空き、そこから雨水が侵入してきます。また海に近い地域だと潮風に当たり塩害による腐食がみられる場合もあります。
スレート屋根の塗装する時に谷部も一緒にするとサビによる経年劣化を遅らせることができます。また谷部にも継ぎ目があるため、経年劣化で歪んだり・破損したり・枯れ葉・ごみが詰まり、雨水が溢れ雨漏りになる原因の一つです。
防水紙の劣化
雨水は、屋根の下に防水紙を敷くことによって防水層を作り、雨漏りを防いでいます。防水紙の寿命は10年くらいなので、劣化や防水紙の破れや剥がれで雨漏りが発生することが多いです。
コーキングの劣化
屋根のつなぎ目部分にはコーキング剤によってすき間を埋めています。コーキング剤も劣化によってひび割れたり、剥がれるとその部分から雨水が入ってきて雨漏りになります。
施行不良
スレート屋根には防水塗装が施されていますが、不適切な塗装をしたため雨漏りの原因になることもあります。
例えば、雨水を排出するためにスレートとスレートの間にすき間があります。塗装する時に【縁切り】というすき間を作る工程が必要になりますが、この縁切りがされていないとスレートとスレートの間に雨水が溜まり、防水紙や釘穴から雨漏りが発生します。
応急処置
雨漏りを見つけて、修理会社に連絡してもすぐに対応するのが難しい場合があります。修理するのに時間がかかる場合は、雨漏りの二次被害を起こすことがあり、修理も高額になることがあります。出来る限りの応急処置をして二次被害を防ぐ必要があります。二次被害としては、
・壁・クロス・天井などのシミ・カビの広がり
・シロアリが発生し資産価値が下がり、住宅の寿命が短くなる
・漏電・火災
二次被害を起こさないための素人にもできる応急処置をご紹介します。
天井からの雨漏り
天井から雨漏りがあった場合は、まずは雨が落ちてくる場所にビニールシート・新聞紙・レジャーシートなど敷き、その上にバケツや底の深い容器を置き、床や壁が濡れるのを防ぎましょう。水が溜まってくると水が跳ねるので溜まった水を捨てたり、バケツや容器の中に新聞紙や雑巾を入れておくと雨漏りの水が跳ねることを防ぐことができます。またペットシートやオムツは吸水性が良いので雨漏りの時にはおすすめです。
ビニールシートで覆う
屋根裏に入ることができるのであれば、雨漏りしている部分をビニールシートなどで覆ったり、バケツを置いたり、室内に入ってくる雨漏りを防ぐ応急処置ができます。屋外で雨漏りが発生している場合は、修理業者を呼びましょう。間違っても屋根の上に上って応急処置・修理をしようとするのは、素人には難しいです。また雨が降っているときは大変危険です。足場が滑りやすく落下事故が毎年4人に1人起こっています。
やってはいけない応急処置
間違った雨漏りの応急処置をした結果、被害を抑えるどころか、さらに悪化させる可能性もあります。
雨漏りの原因がわからないまま補修
雨漏りの原因がわからないまま、ひび割れ・穴・すき間が空いている部分をコーキング剤などの補修材で塞ぐのはおすすめできません。むやみに塞いでしまうと雨水の排出ができなかったり、雨水の流れが変わり、雨水が溜まりやすくなるため雨漏りがさらに酷くなることもあります。
釘を打って修理
雨漏りの部分を塞ぐために板と釘を使って修理するのはやめましょう。骨格の木材を貫通しないように職人が調節しています。素人が何もわからずに釘を打つことは絶対にやめましょう。雨漏りの被害を大きくするかもしれません。
正しい対処法
応急処置では、雨漏りを完全に修理することが難しく、最終的な修理はプロに任せましょう。ご自身でできると考える方もいらっしゃるかもしれませんが、快適な生活を取り戻すにはプロによる修理が必要になります。修理の方法は、3つあります。
塗装による修理
スレート屋根に塗装することで劣化防止・耐久性を高められる修理になります。再塗装することで小さなひび割れであれば修理することができます。大きなひび割れや劣化でなければ、おすすめの方法です。
カバー工法で修理
修理をする屋根の上から新しい屋根を重ねて修理する方法です。古い屋根を処分する必要がないので費用面・工事期間を抑えることができ、断熱効果が少しだけ向上します。
デメリットとしては、カバー工法で修理すると屋根を元に戻せませんし、部分的な修理が困難になります。もし部分的に剥がれた場合は、全てはがしてから修理になるので注意が必要です。
葺き替えによる修理
古い屋根を全てはがして新しい屋根に替える方法です。古い屋根を全て取り外すので防水紙などを補修・メンテナンスができ、これまでより軽い屋根材を使用するので耐震性を上げることができます。デメリットとしては、カバー工法よりもかかる費用が1.5倍、また大規模な工事になるので工事期間も長期化します。
まとめ
雨漏りの箇所をご自身で修理しても雨漏りが一時的に治ることはあります。またちょっとしたひび割れ・すき間から雨漏りの場合は素人では原因を特定するのは難しいです。専門業者であれば、知識や経験などを活かしてあらゆる方法(散水調査・目視調査・遠赤外線調査など)を使って雨漏りの原因を特定していきます。
エーストラストでは雨漏り診断士が在籍し、屋根の状態確認をしっかりと行った上で、雨漏り修理にあたります。大阪府で雨漏り修理をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。