石綿スレート屋根の葺き替え・カバー工法について
2023/02/09
石綿は安価で使いやすいことから、屋根材を含む多くの建材に使用されてきました。しかし、発がん性物質が問題となったため、現在では法律によって使用や製造が禁止されています。
築年数の古い住宅では、そのまま石綿スレート屋根を使用しているケースがほとんど。そして今、石綿スレート屋根が耐用年数を迎え、メンテナンスが必要となるケースが増えています。
石綿スレート屋根は葺き替えまたはカバー工法が可能です。しかし、葺き替え時には屋根の解体に伴い、石綿が飛散する可能性も。
自宅の屋根が石綿スレート屋根の場合、正しい解体作業や処分ができる業者を選びましょう。
石綿スレート屋根の見分け方についても紹介しているので、スレート屋根のメンテナンスを検討中の方は参考にしてみてください。
石綿スレート屋根について
石綿(アスベスト)とは
石綿(いしわた、せきめん)はアスベストとも呼ばれる天然の鉱物繊維です。
発がん性物質であり、吸入によって健康被害が懸念されることから、現在では法律により使用が禁止されています。
これまで以下のような特徴から、多くの工業製品に使用されてきました。
・軽量である
・安価に手に入る
・熱や摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくい
石綿が使用されていた屋根材は『スレート』が中心です。
一部では『セメント瓦』にも使用されていました。
石綿スレート屋根は危険?
石綿は軽量で繊維が細いことから、飛散すると人が吸い込む恐れがあります。
スレート屋根に使用されている石綿は、固められている状態です。
そのため通常使用している状態では飛散する可能性は低いと考えられています。
「自宅の屋根が石綿スレート屋根だから」とすぐに解体する必要はありません。
ただし破損した際には、石綿が飛散する可能性があるため、注意が必要です。
耐用年数に合わせて、きちんとメンテナンスを行いましょう。
石綿の危険レベル
石綿が使用されている建材は、環境汚染や健康被害を抑制するため、発じん性によってレベル分けされています。
石綿スレート屋根は、比較的発じん性が低いとされるレベル3です。
解体作業や廃棄物の処理方法には、規則が定められています。
石綿スレート屋根の見分け方はある?
石綿スレート屋根であるかどうか、施工された年代によっておおよその見当がつけられます。
しかし、年代による判別方法は確実ではなく、正確に判別するためには、調査が必要です。
石綿スレート屋根が施工された年代
2004(平成16年)年の法改正によって、アスベストを1%以上含む建材の製造や使用が禁止されました。
そのため、2005年以降に施工されたスレート屋根材には、石綿が含まれていないこととなります。
ただし、「それ以前のスレート屋根材に全て石綿が含まれている」とは限りません。
2001年(平成13年)前後から、アスベストを含まないスレートが作られているためです。
2022年4月に石綿についての報告が義務化
法改正により、個人宅の改修工事において、施工の14日前までに建材に石綿が含まれているか、調査報告を行うよう義務付けられました。
報告が必要な工事は以下の通りです。
・床面積合計80平米以上の解体工事
・請負代金合計100万円以上の改修
スレート屋根の改修時には、専門業者による調査が必要です。
石綿スレート屋根は葺き替えやカバー工法が可能
石綿スレート屋根の改修方法は大きく分類して2通りあります。
・葺き替え
・カバー工法
石綿を完全に撤去するためには、葺き替え工事が必要です。
カバー工法は、葺き替えと比較して施工費用が抑えられるメリットがあります。
希望や予算に合わせて、最適な工事を選択しましょう。
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石綿スレート屋根の葺き替えは安全?
葺き替え工事は、既存の屋根材をめくって解体する必要があります。
石綿スレート屋根を解体・廃棄するためには、石綿の飛散を防ぐために様々な規則があります。
定められている規則には、以下のような項目があります。
・作業者への注意喚起と近隣への告知の掲示
・「石綿作業主任者」の選任
・石綿除去後の取り残しの確認
・廃材の分別集積・一時保管
上記は規則の一部であり、全てを順守できる業者であれば、安全に施工できるでしょう。
完全に石綿を撤去できると、破損時の石綿飛散の不安も軽減されるため、安心感も生まれます。
今後も長くお住まいの予定があり、改修に必要な費用が確保できれば、葺き替え工事がおすすめです。
石綿スレート屋根の処分に費用が必要
石綿を含む屋根材は、通常の屋根材と異なり、解体や処分に手間がかかります。
たとえば、解体時に石綿が飛散しないよう、屋根材を噴霧器等で湿らせたり、防護服の着用が必要です。
石綿が含まれた廃棄物は、他の廃棄物と分けて密閉する必要もあります。
こうして注意を払いながら作業を行う必要があるため、通常のスレート屋根よりも解体、処分に費用が必要となります。
石綿スレート屋根はカバー工法でも大丈夫?
カバー工法は、既存の石綿スレート屋根に新しい屋根材をかぶせる方法です。
そのため、解体や処分に関わる費用が抑えられるメリットがあります。
ただし、再度改修が必要となった場合には、もう一度カバー工法を行うことはできません。
その際には、既存の石綿スレート屋根とカバー工法で使用した屋根材両方を撤去し、葺き替える必要があります。
石綿スレート屋根の改修は信頼できる地域の専門業者に
解体時に石綿が飛散する可能性があるため、石綿スレート屋根の改修にあたっては法律でも様々な定めがあります。
「石綿作業主任者」など必要な資格をもって工事ができる専門業者へ依頼を行いましょう。
石綿スレート屋根の改修費用を抑えるには
また、石綿が含まれる屋根材の葺き替え工事には、通常の屋根材と比較して費用がかかります。
工事費用をおさえるために、地域の専門業者へ依頼を行うとよいでしょう。
広く展開している大手の業者の場合、下請け業者へ依頼を行うことで中間コストが発生する場合があります。
自社施工のできる、地域に根ざした専門業者へ依頼することで、屋根の改修以外でかかってしまう費用のコストカットが可能です。
また、自社施工ができる業者であれば、改修にあたる職人と直接やり取りを行うため安心感があり、不明な点や気になることも質問しやすいメリットがあります。
ただし、訪問販売を行う業者には注意が必要です。
相場から大きく外れた請求を行なったり、技術不足でトラブルが発生するケースも報告されています。
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まとめ
ご自宅のスレート屋根が2004年以前に施工されたものであれば、石綿が含まれている可能性があります。
葺き替えまたはカバー工法で石綿スレート屋根の改修が可能です。
石綿の飛散防止にあたり、適切に施工ができる専門業者へ依頼を行いましょう。
株式会社エーストラストでは、石綿スレート屋根を安全に解体できる「石綿作業主任者」が在籍し、安全に葺き替え工事やカバー工法を行なえる体制を整えています。
大阪近郊で、石綿スレート屋根の葺き替えやカバー工法を検討中の方は、お気軽にご相談ください。