瓦屋根の修理方法や費用相場、修理時期について解説
2022/12/21
独特の趣があり、『和風建築』には欠かせない瓦屋根。素焼きの赤っぽい瓦は南欧風の住宅に使用される場合も多いでしょう。種類によって異なりますが、瓦は長いものだと80~100年ほどの耐久性があります。
しかし、耐久性が高いからといって瓦屋根の修理が耐久年数の間、まったく不要な訳ではありません。
瓦屋根の下にある防水シート(ルーフィング)は、瓦の耐用年数よりも前に交換が必要になる場合があり、加えて台風などで瓦に被害が出れば部分的に修理する必要もあります。
瓦屋根の修理方法や、瓦の種類ごとの修理のタイミングを確認し、雨漏りなどのトラブルなく快適に過ごせる家になるようメンテナンスを行いましょう。
瓦屋根の修理方法は主に4種類
瓦屋根では『葺き替え』『葺き直し』『漆喰工事などの部分修理』『塗装』の4つの修理方法が主に採用されています。
一般的な屋根修理に用いられる『カバー工法』は、瓦屋根の修理には推奨できない点に注意しましょう。
葺き替え
屋根材のみでなく、野地板や防水シート(ルーフィング)まで全てを交換し、新調します。瓦ではない、別の屋根材へと変更が可能です。
費用がかかり工期も長くなりますが、屋根全体を一新できるため、屋根修理の効果は高くなるでしょう。
また、『土葺き工法』の瓦屋根に太陽光パネルを設置するなど、耐震性が気になる場合には葺き替えをおすすめします。
現在ではほとんど採用されませんが、屋根に土を敷き詰めた上に瓦を固定する『土葺き工法』は昭和初期までの主流でした。
土葺き工法の瓦屋根は土が多く敷かれていて重量があることから、太陽光パネルの設置を検討する場合には耐震面で不向きです。
葺き替えの費用の相場は、使用する屋根材や下地の補修の必要度合いによって異なりますが、120~220万円です。
葺き直し
葺き直し工事は、耐用年数の高い瓦を活かした修理方法です。
野地板や防水シート(ルーフィング)を新調・交換し、屋根材である瓦は再利用します。再利用することで、葺き替え工事と比較して、コストを抑えることが可能です。
お気に入りの瓦も、この修理方法で長く使用することができるでしょう。
葺き直しの費用相場は100~190万円です。
漆喰工事や差し替えなどの部分修理
瓦を接着する『漆喰』に剥がれや劣化が起これば補修が必要です。また、瓦の一部が破損した場合には差し替えを行うなど、瓦屋根は細かな部分修理が可能です。
小さな工事は軽視しがちですが、少しの不具合から屋根全体の不具合へとつながり、雨漏りの原因になることも考えられます。
少しでも気になる点がある場合、屋根修理業者に相談の上、点検してもらうとよいでしょう。
築10年以上経過していて特にメンテナンスを行なっていない場合にも、不具合がないか点検を行なえると安心です。
瓦の漆喰補修工事の相場は1mあたり3,000~4,000円です。破損瓦の差し替えは、1~5枚程度まで15,000円~20,000円が相場です。
これに別途足場代が必要となります。
塗装
セメントの瓦屋根の場合には塗装の必要があります。
経年劣化で起こる色褪せに対して、外観の維持のために行われる方法です。
瓦屋根の修理にカバー工法は推奨しない
屋根修理の方法として、安価で工期も短い『カバー工法』もあります。しかし、瓦屋根には推奨できません。
重たい瓦の上からさらに屋根材をかぶせるカバー工法は、耐震性を考慮した時に問題となる場合があります。また、瓦の形状により新しい屋根をかぶせにくい点からも推奨されていません。
瓦屋根は、きちんと耐震面を考慮した上で設計した住宅であれば問題ないことがほとんどです。
耐震性は屋根の重さだけでなく、家の構造、地盤の強弱にも左右されます。
そのため、一概に『屋根が重たいから地震に弱い』とは言い切れません。
修理を適切な方法で行えば、長く瓦屋根を楽しむことができます。
瓦屋根の種類と修理時期の目安
瓦にはいくつかの種類がありますが、既存の住宅で主に使われているのは粘土瓦とセメント瓦です。ご自宅の瓦屋根の耐用年数から、修理の目安を確認しましょう。
粘土瓦
粘土瓦は製造工程により、瓦に釉薬で着色した『釉薬瓦』と、釉薬を用いない『無釉薬瓦』の2つに分類できます。
釉薬瓦
釉薬瓦は『陶器瓦』ともよばれます。多くのカラーバリエーションがあり、和風建築はもちろん、洋風建築の屋根にも用いられている瓦です。釉薬は着色するだけではなく、光沢を増し、防水性を高める要因にもなります。
50~100年ほどの耐用年数があるため、メンテナンスフリーだと言われることも。しかし、瓦がずれたり割れるような、強風や雨による被害が起きる可能性も頭に入れて置くとよいでしょう。
瓦の高い耐用年数を生かし、『葺き直し』を行うことも可能です。
無釉薬瓦
無釉薬瓦はさらに2つに分類できます。
無釉薬瓦の中で多く普及されている瓦は、以下の2つです。
- ●いぶし瓦
- ●素焼き瓦
30~50年ほどの耐用年数があり、防水シートの耐用年数に合わせて葺き直し、もしくは葺き替え工事を行います。
いぶし瓦
和風建築に似合う美しい銀色で、経年変化も楽しめる瓦です。製造工程で“いぶす”ことがその名の由来となりました。『淡路瓦』はいぶし瓦の中でも有名です。
素焼き瓦
シンプルな工程で製造される瓦です。釉薬を塗ったり、いぶしたりするような特別な行程はありません。
粘土そのものの赤っぽい色合いが特徴で、洋風の住宅によく馴染む瓦です。
セメント瓦
安価で扱いやすかったため、かつてセメント瓦は多く採用されていました。
セメントに砂を混ぜてつくられる瓦で、耐用年数は30年程度です。
防水性能を確保し、美観を保つためには、10~20年で再塗装を行うことをおすすめします。
また、一部差し替え工事を希望しても、難しいことが多い点には注意が必要です。
現在はスレート屋根が主流なため、セメント瓦は新たに製造されておらず、入手するのが困難となっています。
瓦屋根の修理はDIYが難しい
瓦屋根では軽微な部分修理ができることから「自分で修理ができそう」と考える方がいるかもしれません。
屋根修理は高所の作業で危険を伴うため、必ず専門業者へ依頼しましょう。
瓦屋根をDIYで修理するのには転落によるケガなどの大きなリスクが伴います。
また、慣れない屋根の上を歩いた際に、瓦を割る可能性も。
現地の屋根診断を無料で行なえる専門業者もありますので、気になるトラブルがあればぜひ活用してみましょう。
エーストラストでも、現地での屋根診断は初回無料で実施しておりますので、ぜひご活用ください。
瓦屋根の修理には火災保険が適用できる場合も
瓦屋根のトラブルが『風災』によるものであれば、修理に火災保険が適用できる場合があります。火災保険と聞くと、火事によるものだと考えがちですが、台風などの自然災害が火災保険の補償範囲に含まれているケースは多いです。
「強風で瓦が飛んだ」「台風で雨樋が壊れた」という想定外のトラブルで、瓦屋根修理の費用負担を減らせます。
ただし申請するには、期間や金額の条件があるため、注意が必要です。
また、補償内容を自分で組み換えることで、掛け金を安くできる保険もあります。
火災保険に加入していれば、誰でも補償されるわけではありません。
きちんとご自身の火災保険の内容を把握しましょう。
まとめ
瓦屋根は他の屋根材と比較すると修理の機会が少なく、性能を維持するのに手間がかかりにくいでしょう。
しかし、耐久性が高いからといって修理を怠ってしまうと、雨漏りなどの大きなトラブルにつながる危険もあります。
瓦屋根の修理方法は、状態に合わせて、葺き替え、葺き直し、漆喰工事や差し替えなどの部分修理、塗装の4種類があります。
瓦屋根の種類によって修理の時期やメンテナンス方法は異なります。
定期的に屋根の点検をする、気になる部分があれば瓦屋根の状態を確認するなどして、瓦屋根の性能を保てるように努めることが長持ちさせる秘訣です。
大阪での瓦屋根の修理に関するご相談は、瓦屋根の葺き替えや漆喰工事の実績が豊富な、エーストラストにぜひお任せください!